サッカーW杯:日本がスペインに勝つ方法

FIFAワールドカップ(以下、W杯)に出場中の日本代表、12月2日未明にFIFAランク7位のスペイン代表と対戦します。

メディアは「運命のスペイン戦」と煽りますが、コスタリカ代表に敗れたことで国民の関心はかなり薄れているかもしれません。

W杯・日本対コスタリカ戦スタジアムの様子
©kyoko

本当の勝負はこれからです!!

ですが、W杯という本当の真剣勝負の場で本気で優勝を狙える国と対戦できるという日本にとっては千載一遇のチャンスです。初出場の1998年から優勝経験国との対戦はまだ3回目です。この機会が貴重な機会であることは言うまでもありません。

日本サッカーは1994W杯アメリカ大会をのがした1993年のドーハの悲劇から「0」からのスタートで今大会優勝候補のドイツ代表に勝利するまでになったのです。

コスタリカ代表戦からの数日で劇的に上手くなることはありえませんが、これまでに培ってきた潜在能力はスペイン代表と好ゲームを演じられるものがあると言っても良いでしょう。その潜在能力を発揮する場がスペイン代表戦に来るかどうか…。

日本代表の勝機はどこにある?日本代表とスペイン代表の違い

スペイン戦は日本時間12月2日(金)の午前4時00分キックオフ
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さあ、まだまだ諦めるのも悲観するのも早いです。ドイツ代表を破ったように勝機は必ずあります。では、日本代表がスペイン代表戦でどのように戦えばよいのでしょうか?

答えはズバリ、「スピードスター系FWを活かす!」に尽きます。

スペイン代表は圧倒的な攻撃力が持ち味ですが、コスタリカ戦の日本代表の攻め方とはかなり違います。

日本代表の攻撃陣はコスタリカ代表に対して点を取るために前懸かりになっていました。一方で無失点に抑えたい守備陣はゴール前にボールを運ばれるリスクを考慮してやや後ろ気味に守備ラインを設定していました。

もしかしたら、攻撃の選手と守備の選手の意識がわずかにズレていたのかもしれません。

結果的に前線と守備ラインの間、いわゆる中盤にボールを持てるスペースが沢山発生してしまいました。日本代表の攻撃陣がボールを失った後ろにはコスタリカ代表がボールを持てるスペースが無数にあったのです。実際、失点もこのようなスペースが起点になっていました。

日本で言えば全員が司令塔!?中盤にスペースを与えてくれないスペイン代表

一方でスペイン代表はコスタリカ戦の日本代表のようなスペースは与えてくれないでしょう。いうならば、ディフェンダーも含めてすべての選手が攻撃のセンスに溢れ、全員で同じ意識で同じ攻撃の「Picture」、日本で言うところの「共通Vision」が描けるのです。

すべての選手がポジショニングに長けていますし、プレスを交わす技術(代表的な技術がどちからにゴールを動かすふりをして止めるキャンセルです)にも長けています。ショートパスも恐ろしくうまいです。極端なことを言えば、全員が往年の小野伸二のような恐ろしく器用な選手で、相互の役割分担も、状況に応じた役割のチェンジもできるようなチーム…と思ってください。

このようなチームですから、ボールをロストするリスクは非常に少ないです。となると、敵の攻撃を恐れずに、敵に守備をするスペースすら与えないほどに前に出てきて小気味よいパスワークでプレスに来た相手選手をいなすことができます。

怖さを弱さに変えるのが戦術なり!

これがスペイン代表の怖さでもあり同時に弱点でもあるのです。日本代表の守備陣がパスワークでスルスルとかわされてゴールを沈められるリスクは本当に怖いですが、スペイン代表の守備ラインの後ろには大きなスペースが空くことが多いのです。

今回の森保ジャパンはスピードスター系の選手が揃っています。大きなスペースはスピードスター系の選手にとっては独壇場と言ってもいい舞台です。

実際、スペイン代表のルイス・エンリケ監督も日本のスピードを警戒するコメントを発しています。実際、スペインサッカーは「早い」「強い」といったフィジカルモンスターよりもポジショニングや技術のクオリティが高い選手が活躍する傾向があります。

その結果、まるで全員がゲームメイカーとでも言えるような質の高いサッカーを展開できるのですが、逆にそこに弱点も見いだせるのです。

加えて、遠藤航の出場が危ぶまれていることで、鎌田大地がボランチに入る可能性も示唆されています。鎌田大地はドイツ・ブンデスリーガのディエル王・遠藤航のようなプレーはできませんが、今季は遠藤渡と近いポジションで同じブンデスリーガで何度もベストイレブンに選ばれる活躍を見せていました。マイボールになった際の視野の広さやゲームメイクにおいては、また遠藤航とは別の次元でスペイン代表と渡り合ってくれることでしょう。

問題は、日本代表の守備陣がボール前をガチガチに固めてもペドリのようなスペースを作り出す天才を擁するスペイン代表を無失点に押さえられるかどうか…。

ペドリらのスペースづくりのマジック(騙し)にのせられずにスペイン代表を無失点に抑えることが重要です。こういう戦い方に慣れた選手をうまく起用してもらえたら勝機が見えてくることでしょう。

さあ、日本代表の勝負はこれからです。ぜひ日本中から魂のこもった応援を届けてあげてください!!

 

杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授)
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