ワールドカップで残念ながら日本は敗退してしまいましたが、サッカーの本場イギリスでの日本の今回の健闘に対する絶賛ぶりはすごいものがあります。
パブや道で出会った見ず知らずの人に、こちらが日本人と知ると「日本の戦いは素晴らしかったよ!!」と讃えられ、子供の学校の保護者に会えば、雑談で日本のサッカーの話ばかり。イギリス人だけではなく、欧州大陸の人々やマレーシア、パキスタン、インドの人からも声をかけられました。
イギリスには、負けたとしてもよい戦いをするものに対して、称賛するという文化があります。負けの美学というか、負けても頑張ったもの、最善を尽くしたもの、そして劣勢にあっても諦めない人々を讃えます。
日本チームは最後まで諦めませんでした。
欧州の人々には、震災で国土を破壊され、原発事故まで起きてしまったが、自力で立ち上がった日本の姿が目に焼き付いています。欧州にはあんな大規模な災害に遭遇する国はないからです。
そういうわけで、日本はサッカーをやる上では決して恵まれた環境ではありません。Jリーグがそれほど豊かではないことも知っています。
それでも強豪国ドイツとスペインを破り、クロアチアと互角の戦いを繰り広げたこと。これは大変素晴らしいことです。ここまで戦える国は東アジアでたった一つです。
お金があふれる隣国中国は、サッカーにいくらでもお金をかけられるのに日本のレベルにはなれません。経済的にも人口でも遥かに劣勢な日本がここまでできたからすごいのです。
そのことに気がついている日本の方々はおられるでしょうか?
完全なるアウェイであるサッカーの世界で、真っ直ぐで、狡猾さが皆無なサッカーを繰り広げたこと。そして選手達は、ロッカールームを綺麗に清掃し、サポーター達は他人のゴミまで掃除しました。この真摯さと真面目さに、世界の人々は驚きました。Youtubeで見かける日本の清潔さは、本当だったんだな、日本人が真面目だからなんだとわかったのです。
このような真摯さと狡猾さのなさは、欧州が忘れつつあるスポーツマンシップ、紳士道の体現であります。
なにせ近年の欧州というのは、スポーツマンシップよりもお金、ずるくても狡猾でも勝てばいい、お金にものをいわせてなんとかすればいいという感覚が支配する世界だからです。
日本代表の姿を見て、スポーツの原点を思い出した人が多いのです。
さらに強豪国ドイツは、国際的スポーツ大会を左派の政治主張の場にしました。ホスト国の文化を無視し、一方的な主張を繰り広げました。そして東アジアのサッカー弱小国である日本に負けました。
日本チームはスポーツに政治を持ち込まず、真摯に戦いに向き合い、全力で頑張りました。
そんなドイツは、国内の差別問題を棚に上げて他の国を批判することに熱心で、ロシアから天然ガスや原油を買いまくり、ウクライナへの軍事支援を渋っています。
そんなドイツが負けたことを、イタリアのテレビ局のプレゼンターは日の丸の鉢巻をして大喜びし、イギリスのスポーツ新聞はドイツの負けを大絶賛しました。ドイツは歴史的経緯で欧州では大変嫌われていますが、ワールドカップに政治を持ち込んだこと、ウクライナに対する仕打ちで偽善者と呼ばれています。
私の本である「世界のニュースを日本人は何も知らない」シリーズ最新作「世界のニュースを日本人は何も知らない4 前代未聞の事態に揺らぐ価値観」(ワニブックスPLUS新書)でもドイツの嫌われぶりを説明していますが、ワールドカップを通して欧州の国際関係がよくわかりましたね。
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