ごく一部の強硬派がスクラムを組めばアメリカが機能不全になるという現実

新人議員の資産等報告書で「ゼロ回答」がガーシー氏を含め、19人だったと報じられています。ゼロでどうして物価の高いドバイに住めるのか、ということになりますが、この報告書は普通預金も家族名義の不動産も株式も除くのですから不透明の極みです。そんなこと言ったら私も実はゼロに近いかもしれません。私の今日時点の普通預金は1100㌦(11万円)しかないです。個人名義の不動産もないし、定期預金もほとんどありません。つまり、何が本当か全然わからないのです。無意味な資産等報告書でマスコミも年初からお忙しくされているようでご苦労なことです。

では今年初の今週のつぶやきをお送りいたします。

市場は一進一退が続く

アメリカの12月度雇用統計が発表になり事前予想の20.3万人を上回る22.3万人で着地、失業率は50年ぶりの水準に並ぶ3.5%に改善となりました。ただ、賃金上昇率が前年比4.6%と落ち着いていることから2月1日のFRBの政策決定は現状予想の0.25%利上げ予想を変えるものではないと受け止めています。アメリカの労働問題は昨日のブログで意見しました。経済学的に言えるのは失業率が一定のレベルより下回ると「猫の手を借りた」状態であり、結局役に立たない低いレベルの労働者しか残っていないわけで、労働の質がどんどん悪化し、生産性が下がる悪循環に入っている点は要注意です。

一方で市場はFRBの政策に緩和バイアスがかかると読んだので株価が高騰し、歪んだ状態になるわけです。つまり不健全です。一部の逃避マネーは長期チャートが昨年10月頃に反転した金(ゴールド)に引き続き流れ込んでいます。ドル安⇒金高となりますのでしばし騰勢が続くのでしょう。一部の産金会社の株価は2か月で2倍越えになるなどマネーのシフトも見て取れます。一方、ハイテク株は未だに厳しく、今週、テクノロジー見本市、CESが開催されているのに盛り上がりに欠けています。引き続きテスラが悪役で今後、競合の追い上げに苦戦するシナリオが見えてきそうです。

日本の株式については激安相場となっていてテクニカル的にどう転んでもこれ以上下がらないところにあります。日経平均は年初に9か月ぶりの安値をつけた後、やや反発しました。その中で騰落レシオが80を下回っていたのがようやく上向きになり、陰の局からの脱出になるとみています。80は統計的にも最低水準ですから連休明けから改善の兆しがみられると思います。但し、日銀の政策決定会合が18日で、サプライズ好きの黒田総裁がなにをやらかすかわからないという市場の疑心暗鬼だけは頭に入れておいた方がよさそうです。

アメリカの下院議長は誰になる?

日本の一般ニュースでは興味がないのかさほど報じられませんが、アメリカで大統領、副大統領に次ぐ権限を持つ下院議長を決める選挙がとん挫しています。下院は共和党が支配したのでペロシ氏は降り、新しい議長を共和党から選出するわけです。共和党議員の選挙で過半数を取った人が就任するのですが、木曜日まで11回選挙をやっても決まらず。今日、金曜日、再び選挙が再開されます。このブログが公開される頃には決まっているかもしれないし、全然決まらないかもしれません。

理由は保守強硬派21名が本命であるマッカーシー院内総務に反発しているからです。ついにはトランプ氏もマッカーシー氏に投票を、と呼びかけるものの無視。マッカーシー氏は妥協案をこの強硬派に提示しているもののこの団結力は強く、動じない姿勢を貫いています。これにはバイデン氏もあきれ顔ですが、注目すべきはごく一部の強硬派がスクラムを組めばアメリカという国の機能不全すら引き起こせるということです。

この21人の団結でアメリカは議会を開催できないのです。80%の国民が冷たい視線を送ってもごく一部の熱狂的な支持者が「お前、裏切るなよ」と後ろで囁けば21人の団結は石より硬いものになるでしょう。これぞ、今日のアメリカが抱える社会問題の典型的事例だと思います。アメリカの民主主義批判が起きるのも世界で権威主義が跋扈するのもこれが反面教師ともいえます。人々はこのドタバタ劇を興味深く見ながら「どこが偉大なるアメリカ?昔話だね」と嘲笑するのであります。アメリカの政治、特に二大政党制度は機能不全だと思います。

dkfielding/iStock

18歳の成人さんはお呼びじゃない!「二十歳の集い」

1月第2月曜日は成人式で社会ニュースでは美容室が朝から忙しかったとか、酒を飲んでトラブった新成人の話、挙句は成人式の会場で喧嘩バトルというのが風物詩であります。数年前には予約した晴れ着が着られなかったという話題もありました。日本は本当に平和な国だと思います。ちなみに私は成人式に行かなかったです。確か、バイトをしていた記憶があります。その時からひねくれていたのでしょうね。

ところで20歳以上で成人というのは世界では希少価値になりつつあり、アジアでは韓国、台湾、シンガポールぐらいでそれ以外はアフリカ諸国に多く見られます。主要国、途上国を含め、基本は18歳が成人年齢となりました。日本でも昨年4月1日に成人年齢が18歳に下がりました。なぜ、日本は20歳だったかといえば明治9年の旧憲法下における太政官布告が原点です。当時、西欧では20代前半が成人だったのに20歳の日本の成人は早かったのです。

理由は当時は早死だったこと、あるいは歴史小説で散見できる通り、大体15歳ぐらいで元服し成人扱いで18歳ぐらいになれば一丁前、20代になれば国や藩を背負って立つ中堅と考えられました。人生のライフサイクルが早かったともいえます。その成人規定が百数十年経ってようやく改正され諸外国並みになったのは18歳では成熟と思われなかったか、平均寿命が伸びたので成人を早めたくなかったのか、さもなければ国や政治家の怠慢でしょうか?本来であれば成人式は18歳基準ですが、多くの市町村は「20歳未満お断り」。ならば成人式という祝日の名前は変えた方が良いということになりませんかね?

後記
北米の不動産が下落に見舞われているというのはニュースの偏重報道に過ぎない、という衝撃話を一つ。今週郵送されてきたカナダの固定資産評価額通知書を見てたまげたのは私だけではないでしょう。全ての所有不動産が昨年比約20%上昇です。特に驚いたのは2019年春に開発用として購入した土地がなんと購入時から既に60%以上も上昇しているのです。この評価計算は特殊なので昨今の市場を反映したものではないのですが、下がる、下がると言われる不動産、これを見るとやっぱり誰でも欲しくなるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年1月6日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。