日本経済新聞の記事によれば、日本の女性の「生涯無子(チャイルドレス)率」は、27%と先進国で最も高くなっています。これは、50歳時点で子どもがいない人の比率と定義されています(図表を元記事で見る)。
しかも、この比率は今後さらに高まる可能性が高く、今後更に少子化に拍車がかかっていきます。
少子化による人口減少は、日本人の数が少なくなり、労働人口の減少で経済規模が縮小し、国力が低下するだけではありません。
高齢者比率が高くなり、若年層の社会保障制度の負担率が高まります。
サラリーマンの国民負担率(税金と社会保険料の所得に対する比率)は、現状約45%です。これが2050年には70%を超えるという推計もあります。江戸時代の農民の年貢よりも高い負担率になってしまいます。
国民負担が高まるという不安は、結婚して子供を持とうという意欲をより低下させることになり、スパイラル的に生涯無子率を高めてしまいます。
日本政府もようやく本格的な対策を検討し始めました。何もやらないよりはマシかもしれませんが、「ポイント・オブ・ノー・リターン」を超えてしまい、もはや手遅れなように見えます。
少子化対策を考え、日本人に対策を講じるだけではなく、移民政策のような従来タブーとされていた対策に関しても現実的な方法を議論すべきではないでしょうか。
また、いわゆる「おひとりさま」が高齢者にまで広がっていくことになり、今までの両親と子供といった家族構成を前提にした社会は変わっていきます。将来やってくる超高齢少子化社会を見通して、少子化による人口減少を前提とした社会のあり方を模索すべきです。
かく言う私も「チャイルドレスの男性」として人生を終える前提で、これからの人生を考える必要があります。
夫婦や親子の関係から得られる「安心感」「相互扶助」「コミュニケーション」といった大切なものを、別のやり方で手に入れる方法を模索しなければなりません。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。