人生「も」バックアップを取っておこう

黒坂岳央です。

「万が一のデータ消失に備えて、常にバックアップを取りなさい」と言われる。筆者はとても慎重な性格なので重要なデジタルデータは、クラウド、NAS(Raid1)で何重にも保存をするようにしている。

だが、バックアップを取る重要性はデジタルデータに留まらない。人生に「まさか」はつきものである。人生も万が一に備えてバックアップをとっておくべきだ。

バックアップはますます重要に
Tero Vesalainen/iStock

収入のバックアップ

人生を生きる上で、万が一消失するとインパクトの大きい要素は「収入」である。特に変化の速い現代、「現状の仕事はいつなくなるか分からない」くらいの気持ちでするのが良いと思っている。経営者、フリーランス、そして会社員いずれの立場でも収入のバックアップを取るべきだと思うのだ。

経営者やフリーランスについていえば、複数の仕事を持ちそれぞれの収入だけでとりあえず生活を賄える程度に引き上げるのがいいだろう。そうすれば万一、どれか1つがダメになっても他の仕事で生活はなんとかなる。その間にだめになった仕事の代わりを探すなどすればいい。

会社員でも同様の考えだ。副業が許されるなら副業を育てるとか、常に転職市場で通用するような市場価値を高められるスキルアップをするなどだろう。実際、筆者が変化の速い外資系にいた頃は自分もそういう考えだったし、同僚も同じだった。個別に飲み会に行くと大抵、次の転職を意識したキャリアプランなどの話になった。万が一、会社を首になっても高度なスキルや経験があればなんとかなる。

言語のバックアップ

もう1つは言語のバックアップ、つまり英語が使えるようにしておくということである。

日本に住む日本人なら、日本語が使えるだけで何も問題はないと感じるだろう。しかし、英語が使えることでこの感覚は一変する。まず英語ができれば世界から見た日本の姿を確認することができる。

日本のメディアで海外の視点で自国を俯瞰して取り上げる記事や動画はとても少ない。そして往々にして日本のメディアは日本を客観的、中立的に分析できておらず、悲観を煽ったり感情的に扇動する意図が見えるものがとても多く正確な情報理解にはあまり活用できないと感じられる。

海外メディアと日本メディアでも同じニュースをまったく違った視点で報道していることは多く、海外メディアの方が冷静かつ中立に見ていることがあるので英語ができればそのような情報にリーチすることができるのである。

また、英語ができれば正直、仕事がなくなってしまうことはもうなくなる。海外のクラウドソーシングサイトに登録しておけば、頻繁に仕事のオファーが来ることがわかる。もちろん、これには英語力だけでなくビジネススキルも必要だがそれがあるなら英語ができれば仕事のバックアップになるだろう。

さらに「万が一、戦争や震災など国難に陥るような事態になったとしても、英語があればなんとかなる」という気持ちの余裕が生まれるのではないだろうか。

人生には「上り坂」「下り坂」そして「まさか」がある。まさかに直面した時「ああ、備えていればよかった」となってしまわないよう、常にバックアップはとっておくべきだろう。失ってからでは悔やんでも戻ってこないものはある。普段から人生の重要要素もしっかりバックアップを取っておくことを勧めたい。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。