リモワ時代でも「東京一極集中」が続く合理的理由

黒坂岳央です。

コロナ発生から陰りのあった東京一極集中が再び再加速している。1月30日に総務省発表の「2022年の住民基本台帳人口移動報告」によると、東京・神奈川・千葉・埼玉の4県において3年ぶりの転入超過が起きていることが明らかになった。一時期はコロナ禍によるリモートワーク拡大で東京への人流は鈍化していたが、ここに来て再び活発になっている。

なぜリモートワーク拡大でも、東京一極集中は止まらないのか?個人的考察を取り上げたい。

visualspace/iStock

東京の過密がビジネスを効率的にする

世界的な他の都市と比べても、東京は突出して超過密都市である。つまり狭く、密集している。過密であるということは住む人には辛い。しかしこれがビジネスを合理的にするのだ。

過密であるということは、ビジネスに必要なあらゆる資源や環境が狭いエリアに集中しているということだ。筆者は元々、大阪府に住んでおりその時には「大阪の梅田は何もかもが揃っている。ここに来れば手に入らない者は何もない」と考えていたが、東京へ来て仰天した。梅田規模の都市がいくつも点在しているためである。

これは東京が日本唯一のメガシティとして有する圧倒的なスケールである。銀行、人材、情報、テクノロジー、お金などありとあらゆる経営資源が一箇所に集中しているために、必要な資源をわずかな移動だけで直接手に触れられる距離にある。

「リモートワーク時代に直接出向く必要があるのか?」と思われるかもしれない。だが、ネットはすべてが可視化されているような印象を与えるが、まったくそうではない。オンラインに出ていないビジネスチャンスは、リアルワールドにこそ膨大に広がっている。人と人との出会いや、オフラインに転がっているビジネスが化学反応を起こすことで、東京には大きなチャンスがある。これはリモートワーク全盛期の今でも、そしてこれからもずっと変わることはない真理である。

筆者が東京で数々出会ったビジネスチャンスや魅力的な人たちは、すべてオフラインを通じて獲得した。チャンスを得たい人はとにかく上京して、行動力全開で活動し続ければどんな人にでもチャンスは開放されているのが東京であると感じさせる。

東京の不動産の圧倒的強さ

「家は資産」と言われるが、日本ではほとんどの家は負債になる。地方で割安で家が手に入れても、人口減少が続くことで商業施設などの撤退が続くなどの住環境の変化により、もはや継続的にすみ続けることが難しくなってしまうというリスクも無視できない。だが、一部の例外が存在する。それが東京の一等地エリアの不動産である。

先日、SUUMO首都圏マンション価格相場マップの画像がSNSで話題を呼んだ。70平方メートル換算の平均価格としては、千代田区、渋谷区、港区など一等地はいずれも1億円オーバーという驚異的なプライスがついているためだ。23区全体で見ても新築マンションの平均価格は8000万円を超えている。明らかに日本全体の平均値で見れば「異常値」と言えるほどの勢いが東京にはある。

家は多くの人にとっては一生に一度だけの買い物になる。しかし、人生は何が起こるか分からない。「終の棲家」にするつもりが、病気やライフプランの変更により、住替えを余儀なくされることだってあるだろう。

だが一部のエリアの一部の物件は高い資産性を有するため、この住替えがリスクでなくなるケースすらある。そうなれば「せっかく買うなら東京圏で」という発想はあり得る。また、地震などの災害に強いエリアも東京は有している。生活基盤を東京にするメリットをこうした要素に見出す人もいるのではないだろうか。

東京に住むことは極めて合理的な理由がいくつもある。実際に住んだ人ならもう離れることが難しくなるほどの魅力がある街だ。リモートワークがどれだけ広がっても、人口減少が続いても、東京はこれからも人を魅了し続けるだろう。

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