新幹線にも「ダイナミックプライシング」を導入して欲しい

仕事やプライベートで国内に出かける機会が増えています。福岡に行くときは飛行機ですが、名古屋、京都、大阪、金沢などには新幹線を利用します。

JRを利用していていつも思うのは、なぜ新幹線の運賃は、平日日中の閑散時間でも、休日のピークタイムでもほとんど変わらないのかです。

モノやサービスの価格は、需要と供給で変動します。同じ移動手段でも、航空運賃は、購入タイミングと登場する日程によって数倍にも変わったりします。「ダイナミックプライシング」と呼ばれる需給に合わせた柔軟な価格変動によって、企業の利益を最大化すると共に、需要の平準化を実現できます。

鉄道料金も、お盆などのピーク時に価格が上乗せされることがありますが、数百円程度で需要を変動させるほどのインパクトはありません。その結果、繁忙期に利用客が殺到し、大混雑。逆に、閑散期は、空席が目立ち、収入源が無駄になってしまうのです。

調べてみると、鉄道には法律上の規制があり、価格変動に制約があることがネックになっているようです。

もし、鉄道運賃も自由化され、例えば、新幹線の平日の運賃と休日の運賃が2倍、3倍違うとなれば、平日に出かけようと思う人たちが増え、休日の混雑が緩和される効果が期待できます。

価格の変動で利用者が混乱するとの意見もありますが、ホテルや飛行機では既に当然のように導入されていますから、慣れの問題です。価格の変動が難しければ、閑散期の利用で次回の利用クーポンやポイントを付与する方法も考えられるでしょう。

現状の運賃体系では、私のような平日の閑散期の利用者は、割高な運賃を払っていることになります。でも、座席に余裕があって、空いているメリットがありますから、あまり気にはなりません。むしろ、繁忙期の混雑を何とかして欲しいというのが希望です。

先日、ブログに書いたランチの問題もそうですが、特に日本人はなぜ同じタイミングで同じ行動をしたがるのか。

会社員が有給休暇を取りにくいといった事情もあるとは思いますが、時間をずらすことのメリットについて、過小評価していると思います。

空いていることにより感じるメリットを平日の旅行で味わってしまうと、もう混雑している週末の旅行には行く気になれません。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。