AIが永遠に奪えない仕事の共通点

黒坂岳央です。

オックスフォード大学をはじめ、様々な大学やシンクタンクが発表した「AIが代替できない仕事リスト」がある。2023年はChatGPTはじめ、様々なAIチャットボットが世の中に出ており「自分の仕事はAIに奪われるのか?」と戦々恐々と不安の声も聞こえてくる。

こうした「AIが代替できない仕事リスト」は発表する時期や研究機関は異なれど、その内容はほとんど変わらない。筆者はコンピューターサイエンスの専門家ではないが、その共通点を考えたい。

metamorworks/iStock

感情を動かす仕事

人の感情を動かす仕事は依然として残ると考える。なぜなら、AIは便利なツールに過ぎずどれだけ驚異的な利便性を出すことができても、人の感情を動かすことは難しいと考えるからだ。代替不可能と予測が出ているものとしては、学校教師やアスリート、保育士、芸術家や心理学者や心理セラピストなどがある。これらの仕事の共通点は「相手の心を動かす」ことにその本質があるだろう。

学校教師は、「勉強という知識を授ける仕事」が本質ではなく、色んなバックグラウンドを持つ子どもたちをうまくマネジメントしながら、子どもたちの社会性を育んだり、勉強を継続させる業務だと思っている。自分は英語講師をやっているが、英語力を受講生に授けるのは当然として、自分ができる役割の本質は「挫折させずに最後までやりきらせること」だと思っている。完全独学だけで長期的に勉強をし続けられる人はかなり少数派であり、多くは教師にメンターとしての役割を求める。

正直な話、英語の勉強法は世の中に山ほど出ている。自分もYouTube動画などでも出しているし、動画の視聴者から「動画を参考にしたことで6年間失敗し続けていましたが、ついに試験に合格できました!」といったコメントをもらうこともある。だが、圧倒的多数の人が求めているのは「英語の勉強の方法」というより「途中で挫折せずに走り切るメンター」だと思っている。メンターに必要なのはいかに挫折させないか?という心理的サポートだ。これにはAIは代替できない。

自分自身が昔、英語学習に非常に苦労した時期があったり、失敗した経験がありそれを恥ずかしげもなく公開しているが、視聴者はそうした泥臭い時期の苦労にもストーリーを感じてくれ、自分から教わりたいと言ってくれる。

保育士や心理学者、心理セラピストなども同じである。話を聞いてほしいと思う相手に「AIチャットボットに好きなだけ話なさい」といっても満足しないだろう。共感は人間相手でしか決して務まらないためだ。

AIはアスリートや芸術家になれない

さらにAIやロボットがどれだけ優れていても、プロアスリートや芸術家になることはできないだろう。

プロアスリートは人間レベルの限界を競う競技である。見ている人はその人の幼少期から抱いていた夢の大きさや、日頃の鍛錬といったポイントに応援したくなるような気持ちの動きが発生する。

ロボットに100メートル走をさせて盛り上がることはないだろう。人類はとっくに馬車や車、バイクといった乗り物を開発済みだ。一部にはF1レーズのような乗り物限定の競技はあるものの、それらが人間と走る性能を競い合うことはない。人がアスリートの競技に感動するのは、競技の背景にあるストーリーに対してだ。ストーリーを持たないツールに見ている人が心を動かされることはないだろう。

芸術家についても同じことが言える。自分は漫画が大好きなのだが、好きな漫画家の描く作品は中身やレビューを一切見ずに買う。なぜならその漫画家本人をリスペクトしていたり、信用しているからだ。ゲーム作品も同じだ。製作者の想いや姿勢、苦労する過程を理解したいし、一生懸命作った作品にお金を払って応援したいという気持ちもある。AIがどれだけ漫画をかいたり、ゲームを作っても積極的に買って応援したいといった感情は生まれないのではないかと思う。

結論的に、AIは人の感情を動かす仕事を取ることができないと思っている。人間は感情の生き物であり、多くの人にとって感情が強く動くのは人間に対してである。つまり、どんな仕事の分野でも感情を動かす要素を持つ子ができれば、生き残りが可能ではないだろうか。

 

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