シニアの成功者に教えてもらった「円熟の境地」

私より少し年配の成功している経営者の人たちから話を聞くと、若手経営者にはない視点があり、これからどうするかに関しての学びになります。

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多くのシニアの成功者も、若い頃にはがむしゃらに仕事をしたのかもしれません。しかし、そのような成長期を過ぎて、円熟のフェーズに入ると、ライフスタイルや価値観が変わってきています。

一言で言えば、更なる経済的成功を求めるエネルギッシュな上昇志向よりも、平穏な毎日を優先する安定したライフスタイルを求めているのです。

例えば、精神的な負荷をかけないために、好きなことしかやらず、嫌いな事を無理をしてやらなかったりします。世の中のトレンドや周囲の意見に関係なく、自分の実現したい世界をしっかり作っています。

また、ストレスのかかる面倒な作業からは、距離を置いています。細かい煩雑な手続きなどは人に任せて、自分はやりたいことに集中できる環境を整えているのです。

さらに、揉め事を避けるという考え方も共通しています。争い事をして、もし勝ったとしても、その間にかかるエネルギーは膨大なものになります。

また、人と争う事は、本質的にあまり気分の良いものではありません。不愉快なことに時間を費やすのは、時間の無駄だと思っているのです。

そうならないためにトラブルを起こす相手とはできるだけ接点を持たず、周囲の人とは協調関係を保ちながら仲良く生きていく。そのためには「誰と付き合わないか」が重要です。

自分のやりたいことをやり、やりたくないことをやらず、周囲の人と仲良くやっていく。言われてみれば、幸せに生きるための当たり前のシンプルな方法です。

そんな先輩成功経営者たちの生き様を見ていると、自分のやり方にも、まだまだ修正が必要だと痛感します。

自分の好きなことだけをやるようにはしていますが、そのスタイルを徹底的に追求しているかと言われるとまだまだだと実感します。また、面倒なことを自分で抱え込んでしまったり、周囲との人間関係のトラブルに巻き込まれることもあります。要するに、未だに脇が甘い「脇山甘男」くんなのです。

円熟の境地に到達するためには、今やろうとしていることを更に徹底して、行動パターンを変える必要があるのではないか。シニアの人生の達人たちを見ていると、そんな気持ちにさせられました。まだまだやるべきことはたくさんあります。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。