放送法をめぐる「小西文書」の調査結果が判明した。今後も調査は続けられるが、当事者への聞き取りは終わったようだ。焦点の大臣レクについては
作成者および同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった。
と書かれている。これはこの報告書の「2月13日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高い」という記述と矛盾する。大臣レクが行われたのなら、放送法の説明が行われなかったはずがない。
「大臣レク」は身内の「作戦会議」だった
要するに、礒崎補佐官についての大臣レクは行われなかったのだ。2月13日に情報流通行政局の事務方の会議が行われた可能性はある(たぶん日程表に出ているだろう)。それはJBpressでも書いたように、大臣抜きで礒崎問題を協議する作戦会議だったのではないか。
これで彼ら3人の公文書偽造はほぼ確定した。虚偽公文書偽造罪の公訴時効は7年だが、懲戒処分に時効はない。事務方が大臣に無断で首相官邸と取引して法解釈を決めるというのは、議院内閣制であってはならないことだ。特に大臣が出席したかのような偽文書を部内に配布するのは、霞ヶ関でも前代未聞である。
これが安藤局長の個人プレーなのか、それとも大臣をだますことが日常化していたのか、関係者を証人喚問(あるいは参考人招致)して、事実関係を解明すべきだ。
秘密漏洩は国家公務員法違反
もう一つ当初から明らかなことは、小西文書が国家公務員法違反(秘密漏洩)だということだ。小西議員自身が「極秘文書だ」と繰り返しており、総務省の内部に存在した行政文書を違法な方法で(総務省の承認を得ないで)持ち出したものだ。
これを公開することが許される唯一の条件は、それが公益通報として保護されることだ。たとえば官製談合のような違法行為があった場合、それを職員が外部に通報することは国家公務員法違反に問われず、むしろ奨励される。
しかし本件の放送法解釈は、そういう違法行為にはあたらない。小西議員が「違法な放送法解釈の変更」というのはこれを意識しているのだろうが、違法な法解釈などという日本語はない。
立民党執行部が連帯責任を負う
以上から明らかなように、小西文書は違法に取得された秘密文書であり、その内容にも重大な虚偽が含まれている。これは2006年の偽メール事件と似ている。これは民主党の永田寿康議員がホリエモンのメールを根拠に武部幹事長を追及した事件だが、メールは偽物で、永田議員はのちに自殺した。
あのときも最初から、メールが偽物ではないかという疑惑は(私を含めて)多くの人が指摘したが、前原代表は党首討論で「確証がある」といって話を拡大してしまった。
今回は秘密漏洩と公文書偽造という偽メールよりはるかに重大な違法行為であり、小西議員と漏洩した職員の刑事責任のみならず、これを放置して国会を混乱させた立民党執行部の政治責任はまぬがれない。
国会の会期中は、国会議員には不逮捕特権があるが、予算委員会が終わったら強制捜査が行われるだろう。このまま小西議員の違法行為を放置すると、立民党本部の家宅捜索もありうるが、前原執行部のように総退陣すれば、検察も執行部の責任は見逃してくれるかもしれない。