パリ国立オペラ座バレエ、”バランシン”。
2作品が、レパートリー入り。オペラ座バレエで新作ではない昔の作品を初めて見るのって、とてもワクワクする。
”バレエ・アンペリアル”は41年の作品。正統派バランシン、的な振付ではあるけれど、肝心の音楽との融合性はどうだろう?チャイコフスキーピアノコンツェルト2番が、バレエに合う音楽かどうかと言われると、すぐには頷けないかも。
ソリスト女子、リュドミラとエロイーズのはずが、ハナとビアンカ。
ビアンカの愛くるしさやかわいらしさ、そして優雅さにブラーヴァ!リュドミラ見たかったけど、ビアンカに十分満足。超バレエ通の知り合いが、”ビアンカだけが、音楽のテンポとポワントの先のリズムが完璧にあっていた”って言ってたけど、同感。柔らかい動きの中に、抜群の音楽性。今年こそ、プルミエールになろうね。
ポールはちょっと無駄遣いな気もするけれど、もちろん見ていて心地よい。白鳥もマイヤーリングもポールの日じゃなかったので、ヴァカンス前のジゼル以来。ハナとのパートナーシップというか心の通い合いは見られないけど、元々のパートナーじゃないし仕方ない。
コール女子が今ひとつ揃っていないのが痛い。バランシンのコールは、統一性がとても大切というか、命。バレエ友は、「音楽と一体化できないダンサーでバランシンを見るのはきつい・・・」と嘆く。20年前のよき時代のオペラ座バレエを知ってるからね、私たち(笑)。韓国公演を控えて、コールのよい子たちがそちらに取られてる、というのもあると思う。
”フー・ケアーズ?”は70年の作品。レオノールおかえり~、そして心からのブラーヴァ!
ピンクガールを演じたレオノール、ガーシュウィンのジャジーな音楽に乗せたソロ、圧巻!完璧なリズム感覚とスピードとテンポ、そしてチャーム。表情も最高で、1秒1秒を貪るように楽しむ。
そういえば彼女は”リュビ”の主役も踊れた。こういうの、得意なんだよね。ソロパート、アンコールでもう一度踊ってほしかったくらい、本当に素晴らしい。
レオノール同様チャーム200%全開でキラッキラに輝くジェルマンとのパ・ド・ドゥは、揃ってそれはそれは美しい流れるような柔らかな動きも素晴らしく、見事な復帰。そしてこの二人は、ほんと相性いい。惚れ惚れ見惚れる数分間。
ドゥミソリストは、ロクサーヌが嬉しそうに踊ってるのが目を引く。
5人の男の子たち、よりによって表情が固い子ばかりでこの作品にはなぁ、と思ってたら、一人、ニッコニコ君が。知らない子。心から楽しそうな表情がこの作品にピッタリでいいな、と後で見たら、まだカドリーユの子。プルミエ&スジェに混ざってカドリーユでこの出来は偉いね。
今夜は、オケがなかなか。特に”フー・ケアーズ?”のジャジーな雰囲気とテンポがいい感じ。指揮者のセンスかな?見慣れない指揮者。ガーシュウィンっていいなぁ、としみじみ。ポジティブな狂乱に満ちたよき時代のNYCの雰囲気を音で素敵に表現してくれている。
ビアンカ、ポール、レオノール、ジェルマンのキラキラに包まれたよい公演だったな〜。
パレ・ガルニエ、絶賛工事中。昨年秋からゆっくり始まり、本格工事はこの春から。修復完成予定は2024年末だそう。初めてパリに住み始めた頃、パレ・ガルニエはそれこそ修復中で長期閉鎖中だった。96年、修復明けの新たな柿落とし公演で、サー・ゲオルグ・ショルティによる”ドンジョヴァンニ”演奏会バージョンを聴いたの、よく覚えてる。最初で最後のショルティ体験。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2023年2月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。