予約困難な高級店が素晴らしいとは限らない

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食べることも飲むことも大好きなので、平均的な人よりは外食する機会は多いと思います。高級店から立ち飲みセンベロのB級グルメまで、好き嫌いなく何でも飲み食べる。いわゆる美食家ではなく「雑食家」です。

また、私の好みは、一般的な評価とは少しずれているようです。1番大切にしているのは、食事が終わって会計をする時に、どれだけ気持ちよく支払いができるかです。

10万円以上の会計になっても、気持ちよく支払いたいと思うこともあれば、1万円以下であっても支払いたくないと思う時もあります。

食事に限らず全てのことに「価値>価格」を感じることがファーストプライオリティーです。

行ったこともないくせに、偉そうに語っていると言われたくないので、ミシュランガイドが選んだ東京の三ツ星レストラン12店舗を昨年1年かけて全店制覇しました。

ほとんどが予約困難で、お酒を入れると、最低でも1人5万円はかかるような高級店ばかりです。

1度しか行ったことのないお店もありますので、断定的な評価をするのは危険です。なので、敢えて個別の店名は出しませんが、三ツ星レストランといえども必ずしも素晴らしいとは限らないというのが率直な感想です。

ほとんどは、価格に見合った価値を提供している素晴らしいお店でしたが、中には首をかしげるようなサービスと値付けのお店がありました。と言っても、あくまで単なる外食好きの個人的な感想ですから、普遍化できるとは思いません。自分が満足できなかったお店には、もう行かないだけです。

予約困難に頑張って予約を入れて、1年後、2年後に出かける。その時に自分がどうなっているかもわからず、もしかしたらもう生きていないかもしれない。しかも、お店のクオリティや価格も変わっているかもしれない。そんな遠い未来に、ありがたがって予約を入れるのは、なんだか滑稽でもあります。

そんな予約困難な高級店を盲信するのは、フランスの高級ワインを有り難がる「ワイン通」に似ています。

当日でも予約が取れる素敵なお店は、東京にもたくさんあります。1人数千円で、ミシュラン三ツ星店よりも行って良かったと思えるお店を見つける。そんな「価値>価格」を探す機会を、これからもっと増やしていきたいと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。