日本の政治レベルの低さを世界に発信してしまった人たち

色々ニュースが多かった週ですが、個人的に残念だったのが保津川下りでのボート転覆事故。京都観光では寺社見学とは違う楽しみで着目されていた観光資源だけに、と思います。記事のコメントによれば一番後方の船頭さんが激流の中、船が浮いた際に空舵になって操舵ミスを犯したのでは、とのことですが、どれだけ熟練していてもヒューマンエラーは起きること。そして不幸にしてそれに気を取られた残りの船頭が操舵してまずは安全を確保しなくてはいけないのに岩にぶつかったという二重ミスの可能性もあるのでしょう。激流下り故に緊張感は高めてもらいたいものです。

では今週のつぶやきをお送りします。

市場はリカバリープロセスか?

相次いだ銀行破綻の後、当局の必死の対応、及び今週の金融サービス委員会での金融不安顛末の公聴会を経て、市場はとりあえず落ち着きを取り戻しています。SVBの破綻はやはり以前から兆候があり、分かっていたのに対応が遅れたヒューマンエラーを当局が認めた形になりました。ただ、予想を超えたのがSNSなどによる噂の伝播の早さで同行の預金(預かり)残高が22年末の23兆円が数日間でほぼなくなる状況になったことは完全なる想定外でありました。

これについてバイデン大統領はトランプ氏が大統領時代に金融規制を緩和したことが原因と発言し、厳しい規制下に置くことで監督当局とも一致した姿勢を取ることになっています。あまり目立たないニュースですが、共和党は強く反発、FRBの監督不行き届きと言っています。ではパウエル議長を選んだのは誰か、と言えばトランプさんでした。一方、欧州の方はクレディのAT1債無価値問題が根強く、相当のしこりを残しそうです。スイスの銀行だけ違う条件のAT1債だったなんて言われてもプロですら見逃す要綱にも焦点が当たりそうです。

株式市場については日本もようやく落ち着きを取り戻し、一般的には新年度入りする来週は需給関係が良好になるので上がりやすくなります。北米でも利上げピーク感と一部に先行き利下げ期待があり、ハイテクに買いが入っています。打診買い程度ならよいと思います。あと金(ゴールド)は利下げ期待、ドル安バイアスがかかるなら今年中に史上最高値が視野に入るかもしれません。資源、特に原油も安すぎると思います。4日のOPECプラスを見てそろそろ反発になるのではないかとみています。

トランプ氏は逮捕されるのか?

されるのでしょう。最新情報で4月4日早朝ではないかと見られています。トランプ氏は起訴状の提出を受けてマンハッタンの裁判所に出廷し、その際に訴状が開封され、中身がわかる仕組みです。ただ、逮捕がどこまで重要な意味があるのかは別です。飲酒運転で捕まっても逮捕なのです。アメリカで逮捕経験者は多いでしょう。そんなことはどうでもよいのです。ポイントはトランプ氏にかかる数々の疑惑の中で一番軽そうな案件、そして衆目を集める不倫相手との問題、及びその口止め料を弁護士代として払ったことがまずは導入部分でこれから本格的なトランプ氏の顛末劇場が始まるのです。

トランプ氏はこれ以外に機密書類持ち出し、議会襲撃事件など疑惑の調査を抱えています。つまり、これらが今年秋の大統領選の火ぶたが切って落とされるまでに波状的に出てくることは100%確実です。ではトランプ氏が魔女狩りだというのは正しいのか、と言えば司法には常に色がついていることを自身が一番よく知っているはずなのです。それは最高裁の判事の任命でトランプ氏が共和党に有利になるような判事構成に変えたのはご記憶の通りです。

人間に出来てAIに出来ないものの一つに不公平な判断や政治的判断です。これはAI君が過去の事例を基に機械的判断しかできないのに対して政治は人が人を治めるわけですから恣意が働き、何が起きるかわからないわけです。共和党は当然このシナリオを十分読み込んでいるでしょう。いくら人気があれど傷だらけのトランプ氏を大統領候補にするよりもっとクリーンでイメージ刷新をしたいと考えると思います。以前から言っているようにトランプ氏には一部の熱狂的ファンがいるのは承知していますが、個人的にはもう厳しいと思います。

日本の政治話 3題

小西洋之議員、これは酷過ぎました。サルらしく、自ら高揚して興奮したのでしょう。個人的に最低だと思った発言は「元総務省放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だと思うが」というツィッター。これどう見ても恫喝です。課長補佐は権限を持っていて歯向かうものならどうなるかわかっているのだろうな、というわけです。チンピラのサルと同じです。おまけに記者会見で謝罪をした際の顔は明らかにバカにしていてニヤツキを隠していました。泉代表が即断で参院憲法審の野党筆頭幹事から解任し、党として発言を謝罪しました。レベル低すぎます。

では高市早苗氏は逃げ切りセーフだったのかと言えばこれまた怪しい気がしています。何故、閣僚があそこまで冷たいのか気になります。デイリー新潮の記事「大物が更迭発言?」は松野官房長官らしいとされます。まぁ、更迭発言などできる立場の人は2人ぐらいでうちお一人は外遊で忙しかったわけですからおのずとそうなるのでしょう。個人的に興味があるのは高市氏は不人気なのか、人徳がないのか、であります。閣僚が撮影で座る座席は高市氏が首相の向かって右隣り。それはお飾りなのか、まぁ、胸中を明かすことはないでしょうが、岸田氏に足りないのは女性議員への「聞く力」かもしれません。

最後3題目は政治家女子48党(旧NHK党)。やり取りを見ているともはや政治ではなくてブラックジョークとしか思えません。国はここに政党給付金として2億6200万円程度を2022年度ベースで差し上げております。ついには大津綾香党首と立花孝志氏では代表権を巡ってLINE上の大乱戦となっています。結局、全ては立花氏の豹変ぶりというか一貫性のなさや思いつきと派手さだけを当て込んだ目立とう主義。お笑いか何かでご活躍するのは結構ですが、政治の舞台からはどうぞお引き取り下さい、と申し上げざるを得ません。日本の政治レベルの低さを世界に発信しているようなものです。

小西議員と立花氏 NHKより

後記
カナダの税務当局から給与の源泉徴収額について電話をくれというのでやり取りすれば約1時間。問題は当方が3年間で合計5万円程度を払い過ぎているので精算と返金するにあたり、なぜ払い過ぎになったかを詳細に書き出し、当局が読みやすいフォーマットで送れというもの。その指示はスプレッドシートのa1に何、a2に何を書け…といった具合でこれは日本以上の細かさだなと聞いていてあきれ返りました。2つは作って送ったけれど3つ目の8千円の払い過ぎ返金ために膨大な時間をかけたくないので受け取り「放棄」させてもらおうと思いますが、当局は許してくれるかわかりません。涙

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年4月1日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。