ミュンヘン・フィルハーモニカー&ロレンツォ・ヴィオッティ”マーラーシンフォニー6番”@フィルハーモニー・ド・パリ。
うわぁぁぁ〜、ブラ〜〜〜〜ヴォ!文句なし完璧♪
まず、作曲家。もともと1、3、5、9番が大好物だけれど、6番ってオーケストレーション的にすば抜けてる?
90分の中に、音楽のあらゆる形の美しさが全て網羅されているように感じる。各楽器の魅力もきっちり引き出して(ハンマーまで、ね(笑))、なんて素晴らしい曲なんだろう、としみじみ。
次に、オーケストラ。個人的ベスト5に入る大好きオケ。ずっしり重たい中にきらびやかさも兼ね備えた素晴らしい響きが身上。
今夜も、威風堂々、朗々と、とても美しい響き。木管お見事(数日前のウィーンフィルより今夜の方がフルートとクラはうまいと思う)、ホルンも相変わらず高らかで、全パート素晴らしくお上手。
もじゃーをはじめお年寄りで姿を消した人たちが増えた?全体的に若返った気がする。
そして、指揮者。はじめましてのヴィオッティに惚れる。登場した瞬間の感想は、細っ!ダンサー?マイクを手に、まず作品解説。そして振り出した動きを見てすぐ、なんでこんな細いかよくわかった。すごく動いて汗びっしょり。演奏会するたびにどんどん痩せそう(笑)。
歌うように踊るように、朗らかで喜ばしい指揮。優しく、激しく、なめらかに、そっと、、、。音楽のニュアンスを体全体で細かく丁寧にオケに伝えてる。
ブルーグレーにブラックを合わせたスタイリッシュな衣装は、躍り上がるたびに裾が翻り裏地の赤がチラリ。口髭を生やした姿のイメージは、ヨハン・シュトラウス二世とか、フリードリヒが描いた岩の上に後ろ向きで立つ男(なんていう題名?)。
くぅぅかっこいい〜!と思わず呟いてしまった、お腹にずっしり響く冒頭に続き、鮮やかな一楽章から二楽章へは休みなしアタッカでぐんぐんぐん前進。三楽章の美しさときたらこの上ない。全体的に、勢いよいテンポで躍動感あり、もう少し奥行きあってもいいかなというシーンも。経験と共に深くなるでしょう。
とにかく、嬉しくて仕方ない、という感じの指揮ぶりは好感度大だし、音楽が丁寧、そして健全。音響含めて、先日のウィンーフィルが陶酔なら今宵は高揚。
弦、左から、第一、ヴィオラ、チェロ、第二、その奥にコントラバス、という並びが、この曲に対して絶妙な効果。楽器同士の掛け合いというか、各パートの浮かび上がりがとても心地よい。これ、指揮者の意向よね?
ミュンヘンフィルは、ゲルギエフといつも素敵な演奏してくれていて、去年はガッティでちょっと挫けたけど、今年はとてもいい指揮者で来てくれて嬉しいな。ヴィオッティに常任指揮者になってもらえばよかったのに。それくらい、すごく相性よい演奏だし、マーラー6番というとんでもない規模の(楽器数も長さも)魅力を、実に生き生きと表現してくれる。
全方位において素晴らしい、大規模オーケストラ演奏の魅力を、90分間の最初から最後まで堪能。来年もこのペアできてくれるといいな。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2023年3月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。