ロン・デサンティスフロリダ州知事は中間選挙で共和党が予想以上に苦戦する中で、知事選で圧勝し、トランプ前大統領に代わるニューリーダーとして注目され始めた。しかし、ここ最近彼の大統領候補としての資質に懐疑的な見方が強まっている。
中間選挙での敗北責任を追求され、一時は党内での影響力が弱まるとトランプ氏は思われていた。だが、自身の口止め料支払い疑惑に関連した起訴を受けて、共和党内がトランプ擁護で結集し、それがトランプ氏の支持率を上昇させる効果を生んでいる。
直近で出たウォール・ストリート・ジャーナル紙の世論調査によると、共和党予備選における支持率でトランプ氏はデサンティスを20%以上引き離しており、別の調査ではトランプ氏が40%近く先行しているものも出ている。
デサンティス氏はまだ大統領選への出馬をしていないが、出馬準備は進めており、フロリダ州議会の日程がひと段落してから正式な出馬表明をすることが見込まれている。
しかし、デサンティスの出馬を待たずに、既に共和党所属の議員が続々と2024年大統領選に向けてトランプ再選を支持する態度を表明している。NBCニュースによると、トランプ氏は23日時点で9名の上院議員、48名の下院議員からの推薦を得ている。デサンティス氏に至っては2名の下院議員からしか推薦を獲得しておらず、肝心の地元フロリダ州の下院議員団の半数以上がトランプ支持を表明している。
デサンティス氏がフロリダ州の知事であるにもかかわらず、同州選出議員の多くがトランプ氏に傾倒している事実は政治家としてのデサンティスの力量不足、トランプ氏の党内における影響力の強さを物語る。
19日にデサンティスはワシントンDCに赴き、新たな推薦を発掘するために共和党議員たちと交流を試みた。だが、ワシントンからフロリダに戻った直後にフロリダ州選出のブキャナン議員がトランプ推薦を表明するという、デサンティス氏にとって屈辱的とも言える結果に終わった。
デサンティス氏はどちらかというと内向的な性格であり、それが他者から見ると、冷たく、人間味が無いという印象に映ってしまっている節がある。ポリティコの記事によると、下院議員時代の同僚からの評価はあまり高くない。
ロン・デサンティスの議会での人気問題は、ますます悪化しています。
「彼はろくでなしだと思う」と、元共和党議員のデビッド・トロット氏は、下院時代のネガティブな逸話が増えつつある中で、こう語っている。”彼は人々のことを気にしていないと思う。”
デサンティス氏が人間味の無さを披露する一方で、トランプ氏は親族が亡くなった共和党議員へ直筆の署名が入った手紙を送るなどして、情に訴える戦略を取っていることをニューヨークタイムズ紙が指摘している。デサンティス氏が地元州の共和党議員団から支持を集められないのも、彼自身の性格的な要因も関係しているのかもしれない。
究極のナルシスト/サイコパスであるトランプは、どうやらデサンティスよりも共感できるようだ。
議員から推薦を多く集めたからと言って、それが必ずしも予備選での勝利につながるわけではない。実際、2016年の共和党予備選の時にトランプ氏は共和党議員団からの支持をほとんどを獲得していなかったのにも関わらず共和党大統領候補に指名されることに成功した。
しかし、トランプ氏の場合、盤石な支持層に加えて、2016年には無かった共和党指導者としてのお墨付きをが付与されているという現状は、トランプ氏が共和党の中で最も有力な候補者であるという事実を裏付ける何よりの証拠だ。
共和党の岩盤支持層から党内エスタブリッシュメントの支持までも獲得しているように見えるトランプ氏にデサンティス氏が挑戦することは中々難しいように思える。それゆえ、支持者から出てきている要請に従いデサンティス氏は2028年大統領選を目指すことが、彼自身の野望を叶えるための一番の近道ではないだろうか?