私が考える「若い頃に絶対やっておくべきこと」は?

黒坂岳央です。

ウォーレン・バフェット、イーロン・マスク、マイケル・ジョーダン他、分野が違えどこうした人物が共通して口にする言葉がある。それは「ハードワークせよ」である。とりわけ若い頃のハードワークは重要だと思っている。

今どき、そんな話は大変聞こえが悪いことはわかっている。できるだけスマートに、理知的に省力的に働き、コンピューターや仕組みにおまかせで自分は優雅に時間を過ごす。そんな貴族のようなスタイルが好まれるだろう。

「若い頃は頑張れだなんて、年齢を意識しすぎて時代錯誤な考え方だ」と反論したくなる人もいるだろう。筆者が若い時はハードワークすべきと考える根拠を取り上げたい。

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仕事で若さは武器になる

望む、望まずに関わらず仕事の上で若さは武器になる。

たとえば若い独身の立場なら仕事は好きなだけできる。昨今、残業時間も厳しく管理されているが、必要なら自宅で仕事に必要なスキルアップをすればいい。

筆者は会社員の頃は職場外でも積極的に勉強をしたし、上司の許可を得て休日自主的に出社して仕事をした経験がある。平日は慌ただしく電話がなったり来客対応に追われて落ち着かないが、休みの日の会社はじっくりと考えたり調べ物ができた。平日は業務をこなし、休日は業務の理解を深める勉強をするという感覚で働いていた。

そして特に会社員の立場だと、若ければ積極的に仕事に挑戦させてもらいやすい事実は否定できない。それをするためには、現在任されている仕事をスピーディーかつ正確にこなせることが条件となるため、ハードワークで技術を磨き時短を実現させた上で「スキルアップのため、より難しい仕事にチャレンジしたい」ということで任せてもらえることもあるだろう。

だが年齢を重ねると状況も変わってくる。結婚をして子供がいると仕事だけをするわけにはいかなくなるし、過去に実績を出せていなければ、「仕事を任せてほしい」と頼んでもそれは若手に振られてしまいがちだ。

若ければ会社側も育成するインセンティブが働くが、中高年となると単なる作業者止まりだと付加価値を感じてもらいにくくなる。結果、新しい仕事を任せてもらいづらくなってしまい、スキルアップも難しくなる。また、年をとると「これはやるべきではないよ」といったネガティブフィードバックもしてもらえなくなってしまう。最も避けるべきは裸の王様状態だ。

だからこそ若い頃は一時的にハードワークをしてでも、知識、技術、経験を身に着け、実績をたくさん作っておくべきなのだ。会社に奉仕するためではなく、誰しも来るべき将来を楽に乗り切る備えのためだ。

知識や技術の複利効果

投資の世界では「複利」という重要な概念がある。端的にいえば利子に利子がつくというものだ。意外と見過ごされがちなのは、ビジネスの世界でも知識や技術には複利効果がつくという事実である。

筆者は20代前半で英語力を得た。その後は英検やTOEIC、TOEFLといった英語の試験だけでなく海外留学をしたり、外資系企業で働いた。今でも英語力を使って仕事をしているが、今の英語力は過去に得た英語というスキルに加えて、英語力を活用して磨いたビジネススキルや知識、実績が大変役に立っている。

過去の実績を見て、海外企業や翻訳会社など次の英語関連の仕事の依頼が来るというサイクルができている。そしてその実績を使えばその次の仕事も向こうからやってくる。これは投資で言うところの複利効果に似ている。

ビジネスの複利効果を持たせるには、時間を味方にするべきだ。英語力は何歳からでも手に入るが、英語力を活用して、知識、スキルを身に着けたり、仕事の実績を積み重ねるのはどうしても時間がかかる。逆を言えば、時間がかかることが参入障壁となるし、自分自身のブランド価値を高めてくれるとも言える。

この話は英語に限らない。プログラミングでも、法務でも会計でもどんな専門分野でも一日でも早く、スキルや実績をたくさん積み重ねることが重要だ。将来の自分がスキルや実績のレバレッジで効率的に生きるためにも、若い頃は多少ハードワークをした方が良いということになる。

最終的に生き方は自由だ。ゆるく生きたい人の価値観も軽視してはならない。しかし、あくまで合理性だけを追求するなら、やはり人生前半の一時的でもいいのでハードワークに頑張る方が良いだろう。ハードワークは果実の育成に似ている。種をまき、水と肥料を与えることで年をとった時に果実をつける。だが種まきをしなければ永遠に実ることもないのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。