世界一美しい王妃にマスク着用させた皇室外交はヨルダン国民を失望させた

ヨルダンの国王夫妻と皇太子殿下が来日された。ラーニア王妃は、パレスチナ系の名門の出身で、世界のロイヤルファミリーのなかでもずば抜けた美貌で知られており、ヨルダン国王にとっても国民にとっても自慢の種である。

エリザベス女王の葬儀でも、両陛下の前列に着席され、その美しさが際立っていたのを覚えている方も多いだろう。

ところが、国王ご夫妻が両陛下を訪問された画像を見て驚いた。両陛下も国王夫妻もマスク着用なのである。

ヨルダンのアブドラ国王夫妻とフセイン皇太子を出迎えられた天皇皇后両陛下
NHKより

両陛下がマスク着用なので国王夫妻も合わせられたのだろう。しかし、いまどき、これは国際的にみて異様だろうし、せっかくお見えになった賓客に、事実上、マスク着用をさせたというのは、国際親善の効果を著しく減らしてしまったと思う。

ヨルダン国民が見て決してよい印象などあるはずがない。これとは別にヨルダン皇太子は、秋篠宮皇嗣殿下邸を訪問しているが、このときは、両方ともマスクを着用してしない。

27日にバングラデシュ首相を迎えられたときはマスク着用されているが、28日に「みどりの日」の式典に出席されたときはマスクをされていない。まさか、外国人に会うときはマスク着用なのだろうか。

いずれにせよ、国際親善を考えれば、外国賓客と会うときは、マスクは頂けないと思う。周囲の人たちはしっかりしてほしい。

ヨルダン国王をはじめ、日本人があまり知らあにイスラムの君主たちについては、『英国王室と日本人: 華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館 八幡和郎・篠塚隆)に詳しく紹介したが、 ヨルダンの正式名称はヨルダン・ハシュミット王国であるが、これは王家であるハーシム家の名前にちなんでいる。

ハーシム家はムハンマドの曽祖父ハーシムに遡る家系であり、ヨルダン王家自体は、4代目カリフであるアリーと預言者の娘ファーティマの子ハッサンの子孫と言われている。

ヨルダンは1946年にトランスヨルダン王国として英国から独立し、1950年に現在の国名になったが、初代のアブドッラー1世国王は翌年エルサレムのアル・アクサ・モスクに礼拝に赴かれた際に暗殺された。三代目国王フセイン1世の下で、1967年の第三次中東戦争により東エルサレムを含む領土を失ったが、その後国王の巧みな外交手腕によって、1994年にイスラエルと平和条約を締結して外交関係を樹立した。

フセイン国王の崩御後、子息である現在のアブドッラー2世国王が即位され、引き続きパレスチナやシリアをめぐる困難な状況に対応されているが、2020年にいくつかのアラブ諸国が米国トランプ政権との連携の下イスラエルとの関係を正常化・再開したこともあり(いわゆるアブラハム合意)、今後ヨルダンが中東和平プロセスにおいて役割を果たしていくことも期待される。イスラエルに隣接するヨルダンにおいてはパレスチナ系住民が7割以上を占めるとも言われており、ラーニア王妃もパレスチナ系の名門の出身である。

アブドッラー2世国王は1999年に国賓として来日されたのを含め10回以上訪日された親日家であられる。今上陛下は皇太子として1995年妃殿下とともに御訪問)され、1999年(フセイン国王の御葬儀に参列)にヨルダンに赴かれ、上皇上皇后両陛下も皇太子同妃として1976年にヨルダンを御訪問になられている。

今回の来日では、天皇皇后両陛下は、11日午後4時、御所でお会いになられている。

天皇陛下は「ヨルダンは多くのシリアの難民を受け入れたり、人道面で大変な努力をされたりしていることに敬意を表します」などと述べられたという。

国王は「シリアの難民以外にもパレスチナ難民など人口の25%ほどが難民です」「中東和平に、日本が一貫して支援し、協力してくれることを高く評価しています」と話されたそうだ。