幸せになりたければ、まず「比較をやめる」

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ビジネスを成長させていくためには、3つの比較(三比主義)によって目標を設定することが有効とされています。

三比主義とは、前年比、他者比、予算比という3つの評価基準を設定すること。企業経営においては、当たり前のように使われている手法です。

確かに、やみくもに努力をするより、ターゲットを設定して、それに向かって努力するほうが、やるべきことが明確で効率的かもしれません。

しかし、常に何かと比較しながら成長を求めるライフスタイルはどこかで限界が生じます。永遠に成長し続ける組織や人はいないからです。

去年より今年はもっと成長していなければいけないという「前年比」の目標は、意識し過ぎるとプレッシャーを感じることになります。

また、他者と比較をする「他者比」は、妬みや嫉妬といったネガティブな感情の原因になりかねません。

さらに、自分に高い目標を課してクリアしようとする「予算比」は、達成できなかったときの挫折感が生まれます。

経済評論家の故堺屋太一氏は、名著「組織の盛衰」の中で日本企業の「三比主義」からの脱却を提言していました。

比較することにこだわりすぎることにより、無理にビジネスを進めたり、能力以上の結果を出そうと疲弊したりする。生産性の向上よりも、むしろその弊害の方が大きいと指摘していました。

比較することを止めれば、精神的苦痛から解放され、クオリティー・オブ・ライフは格段に改善します。比較することによる、プレッシャー、妬みや嫉妬、挫折感といったストレスが消えるからです。

多くのビジネス書は、相変わらず成果を出すための目標設定といったテーマでビジネスパーソンを啓もうしています。

だから、「成長しなくて良い」「人は人、自分は自分」「目標は設定しない」・・・こう書くと、やる気のない人のように見えるかもしれません。

でも、何かに縛られることなく、自分のやりたい事を思い切りやる方がより本質的で高い価値提供が出来ます。少なくとも今の私には、目標設定をしない方が、逆に成果が出るような気がしてなりません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。