「日経平均3万円超え」で投資を始める人の末路

5月17日の東京株式市場で日経平均株価は一時3万円台を回復しました。これは、取引時間中としては2021年9月28日以来のことのようです。

東京証券取引所 Wikipediaより

このまま終値で3万円台を維持すれば、日本経済新聞を始めとするメディアが大きく報道することになるでしょう。それを見て、再び日本株投資を始めようとする個人投資家も増えるはずです。

感情的に投資判断をすると、下がっている時よりも上がっているときに投資をしたくなるもの。株価が上昇すると、それを見て投資をしたくなる。これは、投資家の自然な心理です。

株価に限らず、暗号資産でも同じです。ビットコインの価格が上がってくると、マーケットに参入する人が増えてきます。

しかし、このような「感情的な投資」を始めて、今後株価が大きく下落すれば「高値掴み」になってしまいます。

タイミングを考えて投資で利益を出そうとすると、高値になると買って、安値になると何もしなくなってしまう(塩漬け)を繰り返すことになります。これが成功しない個人投資家の典型的なパターンです。

タイミングを捉えて売買益が出せるのは、限られた一部の例外的な人だけというのが現実です。

現在、早稲田大学オープンカレッジの資産運用講座で講義をしています。この講座は2001年から続いており、23年目に入りました。

長年講座を続けていて気がついた事は、株価が上昇すると受講生の数が増え、株価が下落すると受講生が減る「日経平均連動の法則」があることです。

株価が下落したタイミングこそ投資を始めるべきなのに受講生が少ない。このような感情的な投資をしても資産は増えません。

株式投資に関しては、銘柄選択を行わず、投資タイミングも考えない。そして、低コストのインデックスファンドをドルコスト平均法を使って積み立てる。

これが最良な方法です。

投資は正しい方法でやらなければ、時間とお金の無駄になってしまいます。日経平均が3万円に到達して慌てて投資を始めても、残念ながらお金の不安を解消することはできません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。