台湾有事と反撃能力及び憲法9条の関係について --- 山田 成美

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武力に拠る国際紛争

最近、特に広島サミットの開催が迫った今日この頃、我が国が反撃能力を保持すべきということがTV等々で取り上げられています。特に反撃能力の具体的な目標国とか目標物は決まっていないように説明されているようです。

しかしながら、我が国がある外国から大砲、ミサイル、銃器、兵力その他で攻撃を受けるということは、取りも直さず「国際紛争」が起こったと判断できます。これは異論がないと考えます。例え我が国がその外国を武力攻撃しなくとも、経済その他(外交含む)でその外国に制裁を科していたなら報復として武力攻撃を受ける可能性があると考えます。現在のウクライナ紛争がそれを如実に示しています。

台湾有事

この話題はここ数年で急に浮上した事柄と思います。そもそも、中国国土は台湾を含めて一国土であると中国共産党政権は主張しています。日本、国連も承認済みの事柄です。アメリカも同様と考えます。

台湾政府は中国共産党政権と過去に一戦を交えています。要するに、東南アジア、アフリカで行われている武力を伴う国内紛争と同じとも云えると考えます。ただ、台湾は経済力、技術力も有り、且つ自由主義を標榜して実践しています。従い、自由主義国の国々としては国内紛争とは言え台湾を支援したいとしてアメリカが先頭に立って軍事力を含めて支援を行っていると見えます。

ここで、アメリカが台湾に軍事的な兵力支援(陸海軍)を行い武力紛争に加担するならこれは国際紛争と考えます。何故なら中国共産党政権の兵力と台湾政府とアメリカ政府の兵力の武力紛争だからです。即ち台湾有事は「国際紛争」です。従い、憲法9条に従うならこの国際紛争に日本は武力で加担してはならないのです。

日米安保条約と憲法9条

台湾有事でアメリカの兵力が攻撃されれば日本は何らかの支援(基地の提供、兵站、経済、人等々)を求められると考えます。そもそも憲法9条に国際紛争を解決するための戦力(陸海空)を放棄するとあるので、少なくとも自衛隊の武器弾薬と兵力は台湾有事に使用できないと解釈できます。従い、これから保持しようとする反撃能力は使用できないと考えるのが当たりまえと考えます。

それではどうすれば良いかというと、要するに憲法9条の「② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」を撤廃すれば良いと考えます。

ロシアのウクライナ侵略

ウクライナのゼレンスキ大統領は諸外国、特にEU諸国に対して「武器弾薬」の支援を切実にお願いしています。これに関して我が国政府は「できない」と答えるのみ、経済支援は行えると言っています。

現実の戦争で札束では緊急の支援は無理と考えます。我が国の政府は少なくともその札束で武器と弾薬を外国から購入してウクライナへ送るということもできないと考えます。何故なのかこれも憲法9条が原因と考えます。

武力の保持と集団安保

ウクライナはNATOへ加盟を強く望んでいたと考えます。そのための外交努力をしていたと考えます。しかしながら、それがロシアの逆鱗に触れたことになり現在に至ったと考えます。フィンランドもスウェーデンもこれは如何ということでNATOへ加盟する道を選択したと考えます。

即ち、ある外国の武力侵攻は集団安全保障で防ぐことが可能と考えた、武力侵攻に関しては集団で反攻するという安全保障が有効ということです。しかし、これを行うには各国家が武力を保持することが必要条件です。集団でなくても国家が武力を保持することが必要条件であると考えます。

我が国の安全保障

我が国は自分自身で国家の安全保障を確立できないでいます。アメリカが我が国を核兵器で守るという保証はないと思います。核兵器を維持するには莫大な経費が掛かると思いますので、「核兵器廃絶を声高らかに宣言する国家」をアメリカが核兵器で守るわけがありません。アメリカに核の傘をさされていると思っているのは間違いと思います。

少なくとも、通常兵器で良いから経済的で持続性のある兵器と兵力(要員)を維持していけるような体制(憲法、法律、兵器開発と維持、技術力、軍事力)を早急に整えるべきと考えます。

今の自衛隊の体制では自衛隊員は無気力にならざるを得ません。何故なら、特に国内の陸地で有事があったとして自衛隊の行動に法の制限がかかるならまともな軍事行動などできないと思います。

何せ、我が国は有事などない前提で70数年過ごしてきています。我が国民の大多数はウクライナの現状をTV他で見ても他人事と思っていると思います。私もその一人ですのでこれを投稿しました。

山田 成美
年金生活者。21歳からコンピュータ関連(米国製メインフレーム)のOS保守/改変の担当を行い、後に基本S/Wの開発/改良、15年後に退社、IT企業(S/W開発)の立ち上げに参加して3年後に退社、IT企業の立ち上げに株主/役員として参画、65歳で退社、インターネットの機器関係他を輸入販売するIT企業の技術責任者として参加し71歳で退社して現在に至る。