民泊の最大のライバルはビジネスホテル

Sasithorn Phuapankasemsuk/iStock

国内のホテルの宿泊料金が上がってきています。海外からの旅行者だけではなく、日本人の旅行も増えており、需要拡大から価格上昇圧力がかかっているのです。

旅行に出かけることの多い私にとっては、ホテルの宿泊費の上昇は頭の痛い問題ですが、一方で投資対象として手掛けている民泊施設には大きな追い風になっています。

ホテル料金の上昇によって、相対的に割安感が出てきた民泊施設はここにきて稼働率が上がり、料金も高く設定出来るようになったからです。

現在、中野新橋(写真)と北新宿にある合計3つの物件を保有して、運営・管理を専門の会社にお願いしています。諸費用を差し引いた純利益で、今年に入ってからは毎月200万円程度の収益が続いています。

通常の居住用賃貸であれば50万円程度の賃料ですから、家賃の4倍程度という高い収益性です。

前にも書いたように、保有する民泊物件では、ターゲットとする顧客を日本人から外国人にシフトさせています。具体的には、連泊を原則として短期滞在の日本人宿泊客が泊まりにくくすることで、長期滞在の外国人を取り込み、空室期間を減らすことで稼働率アップだけではなくメンテナンスの負担も下げています。

今後もホテルの高稼働が続き、ホテル料金が高止まりすればするほど、民泊に顧客が流れてきて、収益もアップする構造になっています。

ホテルの料金が上がることによる支出の増加よりも、民泊物件の収入が増えて、トータルではプラスが大きくなる。これはうれしい誤算です。

宿泊物件の数が旅行者の数以上に増えなければ、このままの民泊の好調が維持できそうです。

コロナ禍では苦戦した民泊がここにきて稼ぎ頭になる。以前は低稼働の民泊物件についてこんなブログを書いたこともありました。

今となっては、不動産も投資対象の分散が大切だと痛感しています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。