タイタニック号の亡霊:リスクを考えるとあまりにもはかない終わり方

私は広末涼子が15歳でデビューした時、きらりと光るものを感じてその当時発売されたビデオを長年、抱え込んでいました。何が惹きつけたかといえば「あの型にはまらない躍動感」だったと思います。ぴょんぴょん飛び跳ねていたのは若さだけではなく、性格も飛んでいたと思います。まぁ、今回の騒動、くだらない話ですが、それを経済評論家までああだこうだ、と述べるのはどうなんでしょうか。日本の歴史ではお殿様は当たり前、庶民は罰せられる、だったようですが、今は真逆の時代と言うことでしょうか?

では今週のつぶやきをお送りいたします。

投資は上がり下がりがあることを認識すべし!

賞与の時期です。日経のアンケートでは貰ったお金の15%を投資に、そのうち、63%を日本株にするとの回答でした。100万円もらった人はざっくり1/10の10万円を日本株に投資するということです。では今は日本株を買うべきか、と言えば素人ならおやめなさい、と申し上げます。なぜならしばし、ブレそうな気がするからです。株は他人が儲かった話を聞いて追随するケースが多いのですが、それは時遅しなのです。例えば商社の株は今年の初めに買っていれば儲かったのです。

今週、世界の株式は全般にさえず、日本株もダメでした。主因はパウエル氏の議会証言で利上げが2回程度あることを示唆しているからです。市場は口先介入だと思っていますが、あそこまで言われると本気かな、と迷いが出たわけです。では日本株はどうでしょうか?円安がここまで進んでいるのに株が売られたのは海外勢のエネルギーが切れたとしか思えません。ただ、これから2か月間はネタが少ないので大きく下げることもないでしょう。問題は銘柄選びが難しいわけです。

市場参加者にはつまらない一週間でしたが、唯一きらりと光ったのがビットコイン。最近は話題になりにくくなりましたが個人的には長期上昇波動にあるとみています。ブラックロックがビットコインの現物投資のETFを申請したことがきっかけで他社も追随の動きです。また仮想通貨では様々な問題が提起されていますが、いわゆるアルトコインとリンクしているのがイーサでビットコインは身きれいです。だけど、ボーナスを突っ込んではいけません。まずは分散投資がリスク軽減の第一歩です。

タイタニック号の亡霊

潜水艦でタイタニック号を探す、という探検心は宇宙に出ていく気持ちと同じぐらい興味を搔き立てるのでしょう。ツアー代金一人3500万円、金持ちからしたら宇宙に行くよりはるかに安く、しかも人数は限定されています。つまり、何億円も積んで宇宙に行った人と比べ、希少性ではいい勝負だったわけで企画としては上手だったと思います。

が、潜水艇が水深に耐えられるかは別問題。ロケットを飛ばすにしても細心の注意と先端技術の粋があっても失敗するのです。潜水艇そのものの注目度が少ないこともあり、そのあたりの技術的確認がおろそかだったのかもしれません。主催者はNASAやワシントン大学の名前も上げていたようですが、両者とも関与否定です。乗船していてお亡くなりになった事業創業者の「自己過信」の可能性は問われるでしょう。残された者もたまったものではありません。

豪華客船タイタニック号は1912年、英国からニューヨークに向かう途中、氷山にぶつかり、1500名あまりの命が奪われた伝説の事故です。栄華を極めた人たちの晴れの舞台が一瞬のうちに悲鳴と変わっったその亡霊は今回乗船した富豪たちをも迷わすことなく、一瞬で圧殺してしまいました。この手の潜水ツアーは仮に技術的に進化したとしてもビジネスとして当面、成功することはないかもしれません。それはリスクを考えると、あまりにもはかない終わり方で美しくないからであります。

Johan Holmdahl

賢さは難問を解くことではない

私が高校受験勉強をした際、当時のいわゆる御三家(麻布、開成、武蔵)の過去問題に挑戦し、ウーンと唸ったのは設問のひねくれ方が尋常ではないからでした。私は中3の時は出席日数ギリギリしか学校に行かず、あとは超スパルタの進学塾で朝から晩まで缶詰でした。それ自体、狂っていたと思いますが、その狂った受験戦争の真っただ中にいる私でも御三家の問題は狂っていたと記憶しています。

現在、日本の高校受験に於いて英検準2級と数検準2級を持っていれば入学の優先ポイントをもらえる高校があります。しかし英検、数検共、準2級は高校レベル。つまり中学校では習わない内容を自己習得せよ、と言う訳です。これはおかしい!また、日経は韓国の尹錫悦大統領が大学統一入学試験で学校で習わない超難問が出題されるのはおかしいと発言し、論争になっていると報じています。

社会人になると思うことがあるのです。訳わからぬ数学や理科系の知識より社会人教育してもらったほうが助かると。大学生卒にエクセルシートをまともに使える人は少ないけれど会社ではそれがないと役立たずです。メールの書き方も稚拙、電話での応対も出来ない、マネー教育も道徳教育も不完全。だけど、クイズ大会のような難問を解かせることに世間は喜び、テレビ番組もそれを後押しします。ですが、そんなものは一部の人だけで良いのではないかと思うのです。高齢者向け脳トレで小難しい漢字を書かせる問題を見て、「これは脳が活性化するものではない。易しい問題を素早く片づけることが本質だ」ということを皆、忘れているように感じます。

後記
今、東京にいるのですが、ふと思うのは「窮屈」さでしょうか?バンクーバーはビジネス街のすぐ横に落ち着く環境があり、気分転換もしやすいのですが、東京のコンクリートジャングルと「人圧」が重く感じられるようになったのは歳をとったからかもしれません。荒川の岩淵水門はサイクリストやロードバイクのメッカで私は東京にいる時は必ず数回来ますが、その時だけは救われたような気持になります。あの広々とした解放感は多摩川では再現できません。まさに私の東京のオアシスです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月24日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。