ルモンド紙(21日)は、マクロン大統領がウクライナの北大西洋条約機構(NATO)の加盟を支持する方針に転じたと報じている。
ポーランドやバルト諸国がウクライナ加盟を支持していが、フランスは2008年にNATO首脳会議でウクライナの加盟が論議されたとき、ドイツとともに反対したし、ショルツ独首相も「現段階では支援を優先すべきだ」として加盟に否定的な立場だから不可解な動きだ。
これをマクロン大統領の先輩(ENA・フランス国立行政学院)として、推理したら、ウクライナの反攻が失敗に終わりウクライナがクリミア半島などの奪還を現実的な話でないと分かってくれた後に、クリミアだけでなく、ドンバス地域などの割譲とウクライナのNATO加盟を引き換えにすることで手を打とうということでないかと思う。
その場合でもロシアにウクライナには、本格的な主要国軍隊の駐留とか、核などの配備はしないという約束をした上で、ウクライナにロシアが再び手を出したら今度はNATO加盟国への侵略として介入するということはウクライナにとって悪い話でない。
そういう意味では、現在のロシアの占領地は互いにとってほどよいところかもしれない。ただし、ウクライナが二度と攻勢したいと思わない程度に敗れ、かつ、ロシアが追撃する気力もでないといいう状態であることが必要だ。
「民族と国家の5000年史~文明の盛衰と戦略的思考がわかる」(扶桑社)では、「ウクライナ紛争はロシアが悪いが欧米の危険な外交にも責任がある」という章を設けたが、欧米が最後どうやってもさめるつもりなのか見当つかないのが困りものだ。
そういう意味では、上記のような話は、よきおさめどころでないか。
ところで、ウクライナの反転攻勢はうまくいっていないようだ。CNNも「西側の評価によると、ロシア軍の防衛戦は十分に強化されており、このためウクライナ軍は突破しあぐねている。加えて、ロシア軍はミサイル攻撃や地雷でウクライナ軍の装甲車両などを立ち往生させるのに成功しており、また空からより効果的に攻撃している。複数の当局者はCNNに、悪天候がウクライナ軍にとって問題となっているとも語った」と報じているが、苦しそうだ。
ノバ・カホフカ・ダムの爆破はロシアやロシア軍に取ってデメリットしかなく、クリミア半島の飲料水が危機的で、普通にはロシアの仕業ではなさそうだ。爆弾仕掛けたくらいでは、あのような壊れ方はしないし、したとしても閃光など出ないし、地震も起きない。
ありそうなのは、ウクライナの攻撃でついたダメージが時間がたって崩壊をもたらしたとか、ロシアの管理も悪かったといったところだろうか。
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