旅行者ががっかりする日本のタクシー

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週末の3連休は国内観光地はすごい人出て大混雑のようでした。

特に祇園祭りのハイライトだった京都では、いつになく街が混雑していたようです。

少し前の春のお花見シーズンに京都に出かけた際も、平日なのに流しのタクシーがまったく捕まりませんでした。

ここ最近の猛暑の中、タクシーが捕まらず自由に移動できないのは、観光客にとってはかなり辛い状況だと思います。

海外の多くの国では当たり前のように、ウーバーやリフト、グラブといった日本でいう「白タク営業」が認められています。ウーバーといっても、日本でお馴染みの出前してくれるウーバーイーツではなく、ライドシェアの乗り物サービスです。

カンボジアではトュクトュクまでグラブというアプリを使って携帯から予約できるようになっていてとても便利です。

日本国内にもこのウーバーのサービスがあります(写真)が、タクシーアプリと大差のないハイヤーサービスです。規制された料金で、タクシーよりもむしろ割高なものです。

国内におけるウーバーのようなライドシェアサービス反対の理由として、安全性の懸念がよく挙げられます。車内という密室でトラブルが起こるリスクです。

しかし、ウーバーは毎回利用者からのフィードバックが付けられ、評価の低いドライバーは選ばれなくなります。どんな運転手に当たるかわからないタクシーよりも、むしろ安心で高いクオリティを提供するのでは無いでしょうか。しかも、繁忙期は価格は高くなるかもしれませんが、普段はタクシーよりも低価格で提供されるはずです。

白タク規制に限らず日本のタクシー業界の前近代的なサービスは、インバウンドのビジネスにマイナスの影響しかありません。

例えば、東京八重洲や京都駅などのターミナル駅のタクシー乗り場の非効率な運営には利用者目線がまったく感じられず、勿体ないことです。

カリフォルニアのナパに旅行した時には、田舎のワイナリーでもウーバーが利用でき、格安な料金で効率的な移動ができました。日本の観光地でも同じことはできないのでしょうか。

ウーバーは価格だけではなく、予約の際に目的地も携帯から指定でき、料金も予めわかります。だから外国人も安心して利用できます。

日本の駅のタクシー乗り場に長時間並んで、運転手に口頭で目的地を説明しなければならない外国人観光客は、どう思っているのでしょうか。

観光客にとって不便な日本を変えるには、既得権益を打ち破る力が必要です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年7月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。