黒坂岳央です。
記事や動画を出していると、時折コメントを貰うのは科学的エビデンスや統計データに異常なこだわりを見せる一派である。
国家統計データを引用して意見を出したものについては「あなたの意見は信頼ができる」と言われる一方で、あくまで個人的な独断による意見として出すと「エビデンスがないから信用できない」といった反論をもらうことがある。
そもそも、世の中にはオピニオンでしか言えない話もあるので、感じたことや思ったことにまでデータを求められると困ってしまうのだが・・。
最初にお断りしておくと筆者は科学やデータは否定しない。特に大きなトレンド予測やビッグデータを元に導き出せる話はできるだけ最新で最規模なデータを用いる必要性はあるだろうし、人類はそうやって選択を繰り返してきた歴史がある。
しかし、科学やデータだって万能ではない。特に人の価値観や生き方といったファジーな領域についていえば、そんなものはまったく通用しないと思っている。
科学やデータを過信しすぎるあまり、自縄自縛になっている人は少なくない。
人生は20代までで決まる?
最近、影響力のある人達が言う言葉に「結局、人は20代まで人生が決まる。大物は20代までの時点ですでに大物にふさわしい訓練や経験、努力を始めているものだ」というものがある。
言っていることはよく分かる。スポーツであれ、ビジネスであれ、現在大物になっている人物は若い時からすでに平均値から外れた結果や努力をしているエピソードはよく聞く話だ。少なくとも統計データによれば「その人の人生は伸びしろは20代まででおおよそ決まる」という意見には根拠はある。
しかし、自分自身は10代、20代は何の努力もせずただ漫然と日々をムダにダラダラ過ごしてきたが、途中から本気で覚醒して外れてしまった人生のレール外で道なき道を開拓して今があるという感覚を持っている。
確かに20代まででやったことの一部(英語学習など)で現在、役に立っているスキルはあるものの、ビジネスや投資のスキルや知識についていえば9割以上は30代半ば以降に独学で身に付けたものばかりである。
「あなたは20代までの生き方で今がある」などと指摘されてしまったならば「いやそれは違う。起業や投資について言えば起業、投資するようになってから身に付けたもので99%運用している」と答えるだろう。
自分自身が統計値から外れた値の道を生きてきたというのもあるし、妻方の親族で46歳までずっと農家をやっていたがそこから一発奮起して起業し、年収が200万円台から20倍以上の金額になったという人物や、語学力はまったくのゼロなのだが熱烈な恋愛をしてイタリアへ移住して今は幸せに結婚生活を楽しんでいる派遣仲間も見てきた。
こういうエピソードは確かに一般論ではなく、データに入れるべきではないかもしれないがこういう統計の外れ値に近い生き方をする人をそれなりに見てきたので「一般論と自分を突き合わせて怯える必要性」はないと思うのだ。
科学や統計より「結果」がすべて
自分が大事だと思っていることの1つに「科学や統計よりも結果がすべて」ということである。
たとえば日本経済や中国経済の専門家とされる人の中には「こんなにデータ上、状況が悪いのでこれから大変なことになるぞ」と煽るばかりの人がいる。しかし、そういう人の一部には20年、30年間ずっと「ヤバいヤバい」と予測を外し続けており、一向にその「やばい状況」が来ないでいるということがある。
どれだけもっともらしく、科学だの統計だのデータを引っ張り出して解説をしたところで、正しいのは計算式ではなく「目の前の結果」、これがすべてだと思うのだ。
たとえば砂糖がたくさん入った清涼飲料水を毎日ガブガブ飲み続けている患者へ、医者が「飲むのをやめないとあなたは病気で苦しんで死ぬ」と警告を受けていたが結局、注意してくれた医者が先に全員死んで当人は90歳を超えても毎日愛飲している、というジョークのような話がある。
この場合、その患者について言えばあまりにも個体として頑健すぎたため一般論が通用しなかったと見ることもできるだろう。厳密なことをいえば健康は確実に蝕まれていたかもしれないが、事実として予想からは外れてしまったということになる。もちろん、医師は医学の知識と経験からいうべき警告を発するべき立場にいるわけだが、専門家の話でも必ずしもすべてが正しいわけでもない。
◇
自分自身、過去に散々挑戦を否定されてきた。「今更英語なんてやっても遅い。できる人はたくさんいる」とか「せっかく10年以上時間をかけて積み重ねた専門分野を捨ててしまうのはあまりにももったいない。またゼロから挑戦するのは損だ」といったアドバイスである。真摯に耳には入れてきたつもりだが、最後には自分の欲求を優先させた。
本当に一般論の奴隷にならず、自分で決めて良かったと思っている。この経験からも、あまり科学や統計ばかり盲信して自分の可能性を閉じてしまうべきではないと思うのだ。
■最新刊絶賛発売中!
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
■YouTube動画で英語学習ノウハウを配信中!