こんな仕事は、これまでもこれからも選んではいけない

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価値観の変化が想像以上に激しく、今までの価値観が全く逆転してしまうのが当たり前のような社会になりました。これは仕事選びでも同じです。

私が学生だった30年以上前は、仕事選びを真面目に考える人はほとんどいませんでした。大学を卒業して就職するのは、官庁、銀行、保険といった安定した大きな組織が人気でした。

仕事を選ぶというより、会社を選ぶという視点で、人気企業に内定すればそれで満足。入社して何をするのかは正直気にも留めていませんでした。

しかし、当時の花形企業のほとんどは、時代の変化に取り残され、就職してはいけない会社に変わってしまいました。

ではもし、私がこれから社会人になる20代の若者だとしたら、現時点でどんな仕事を選んだら良いのか。

これは極めて難しい問題です。

どの仕事を選ぶべきかはわからないかもしれません。しかし、どんな仕事をやってはいけないかに関しては、今までとあまり変わりがないと思います。

これまでも、これからも、こんな仕事は避けたほうが賢明です。

1. 経験値が蓄積されない仕事

仕事を続けていても、経験によってスキルが蓄積されなければ、自分の労働価値を高めることができず、時間あたりの収入を増やすこともできません。

また、経験がない新規参入者でも簡単に同じ仕事が出来るのであれば、参入障壁が低く、レッドオーシャンに陥ります。

有名企業や大手の会社に入っても、そんな仕事ばかりさせられるなら、別の仕事にチャレンジした方が良いでしょう。

2. 年齢とともに労働価値が落ちる仕事

体力勝負の仕事は、年齢とともに、付加価値の提供ができなくなっていきます。

例えば、スポーツ選手のような仕事は、選手生命がありますから、引退後のキャリアまできちんと設計できなければ、労働としては厳しい仕事といえます。

若さで勝負をする仕事は、いずれ、自分の市場価値が下がり、継続できない仕事だと言うことです。

3. 規制によって守られている仕事

規制によって参入が妨げられていることにより、超過利益が得られる業界は、高収益で社員も高収入になりがちです。

しかしその規制は永遠に続くとは限りません。

規制緩和によって参入が発生すれば、独占による超過リターンは消えてしまいます。競争慣れしていない会社とその社員は、環境の変化に対応することができず、消えていく可能性が高いのです。

仕事選びで大切なのは、将来の変化に対応できる柔軟なスキルを身に付けられる環境であることです。

どの会社に入るかではなく、自分がその環境でどのようなスキルが身に付けられるかという観点で仕事選びをしていくべきでしょう。

また、将来的には、組織に頼らない仕事の進め方を模索すべきです。

会社勤務から解放されれば、リスクが高まりますが、その分自由度も高まり、仕事の満足度も高められる可能性があるからです。

仕事の選び方で大切なのは、未来の絵を描いて、そこから逆算して今何をすべきかを考えること。

キャリア形成には、そんな長期の戦略的な視点が、これからますます必要になるのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年7月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。