シニアが心の安らぎを得られるのは「再婚」だけか?

日本経済新聞の記事によれば、50代から60代で再婚を希望する男女が増えているそうです(図表も同紙から)。

独りで暮らすのは心もとないと感じる人が増えているのが理由の1つではないかと、結婚相談所のスタッフのコメントが掲載されています。

確かに、グラフを見るとこの10年で再婚者に占める50代以上の比率は高まっています。しかし、これは高齢者の人口比率が高まっている要因もあり、シニアだけが再婚を求めているとは限りません。

再婚して生活を共にすれば、精神的な安心感を得られる人もいるかもしれません。

Vedrana Sucic/iStock

しかし、シングルライフに慣れてしまった私のような人間には、再び誰かと一緒に毎日の生活を共にすることは、安らぎよりもストレスの方が大きくなってしまうのではないかと勝手に危惧します。

たまに一緒になれば、楽しい時間を過ごすことができても、それが日常化すると何かが変わってしまう気がするのです。

また、再婚となると経済的な現実も考える必要ができます。

記事の中では、年金、貯蓄、収入、借金、保険、住まいなど、再婚前に確認すべき様々な確認事項が列挙されています。

年齢を重ねるにつれて、それぞれの経済状況は大きく異なり、複雑な人間関係を引きずる人も出てきます。

それらの要因をお互いに冷静に検討し、条件が合致するから結婚を選ぶという感覚も、私にはよく理解できません。

もし独りで生きていくのが辛いと感じたら、必ずしも結婚という制度にとらわれる必要は無いと思います。パートナーとしてお互いをリスペクトしながら契約にとらわれない良好な関係を続けていく。

そんな生き方が良いのではないかと、今の時点では思っています。

と言っても私の得意技は「変節」です。もしかしたら数年後に、今とはまったく違うことを考えながら、今とはまったく異なるライフスタイルになっているかもしれません。

自分と周囲にいる人たちが、満足できて幸せな気分になれるのであれば、それがどんな形であれ、こだわりはありません。いずれにしても、再婚というのは、人生を豊かにする選択肢のあくまで1つにしか過ぎないのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年8月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。