男も日傘を使った方がいい理由

黒坂 岳央

黒坂岳央です。

2023年は驚くほどの猛暑になった。車の気温計は40度を超える日もある。この猛暑で気になるのが紫外線だ。

健康的にも、美容的にもなるべく日光を長時間浴びるべきではないという話は誰もが理解している。外へ出ると多くの女性は日傘やUVカット品を使っている。しかし男性の多くはノーガード状態であることが多く、痛々しく真っ赤に日焼けしていたり焼けすぎて黒くなっている人を見ることがある。

結論を言うと男性も積極的に日傘を使うことを勧めたい。その逆に紫外線を浴びっぱなしだと様々なデメリットがある。紫外線を浴びる恐ろしさは後から表面化し、そして蓄積したダメージはもはやお金を出しても解決できない事が多いのだ。

後から悔やんでももう取り戻せない。だからできるだけ若いうちから日傘で紫外線対策を始めておくことを勧めたい。

grafxart8888/iStock

紫外線を浴びるデメリット

短時間ならまだしも、長時間紫外線を浴び続けるデメリットは世界の研究機関や状況証拠となるデータが豊富に出ている。今更ここで取り上げる必要はないかもしれないが、知らない人もいると思うのでいくつか紹介する。

わかりやすい例がオーストラリアだ。オーストラリア大陸上空では紫外線を吸収する大気圏のオゾン層が薄いため、同国の紫外線は日本と比べると約5倍である。そのため、オーストラリアは世界で最も皮膚がんの発生率が高い国の一つだ。毎年、2,000人以上が皮膚がんで命を落とし、国民の3人に2人以上が生涯のうちに皮膚がんと診断される。

紫外線対策をすることでこのリスクを低減させることが可能である。紫外線はダイレクトに健康上のリスクになる。ちなみにダメージは皮膚だけにとどまらず、眼球や免疫にも影響があると言われる。

また外見上のデメリットも無視できないレベルである。有名なのがとあるトラック運転手の写真だ(探せばすぐ出てくる)。彼は一日の大半を運転をして過ごしてきたのだが、顔の片方だけ紫外線を浴び続けたことで、顔の半分はきれいなのに半分は異常に老化している。

さらに別の例では一卵性双生児の姉妹で生活習慣の違いで、一日中紫外線を浴び続ける生活を送った方が見た目に10〜20歳くらい老け込んで見る映像もある。紫外線のダメージの強さがすぐわかる。

紫外線を浴びるデメリットはあまりにも大きい。知れば知るほど「男が日傘なんてカッコ悪い!」といった周囲の意見に流されるべきではないとわかるはずだ。

紫外線にまつわる誤解

紫外線対策の話をすると「夏場の7月、8月だけ気をつければ良い」と思いがちだが注意が必要だ。自分も昔、誤解していたことがある。取り上げたい。

まず紫外線は年間を通じて意識した方がいいということだ。地上に降り注ぐ紫外線は太陽の高度で決まり、オゾン層も薄くなるタイミングなので春から秋まで長く注意が必要である。また、冬場もスキー場などでは雪の照り返しで顔が日焼けしてしまうことがある(経験済)。ウィンタースポーツ中は日傘を使えないので、顔に日焼け止めクリームを塗るしかない。

そして降り注ぐ紫外線は時間帯でも大きく変動する。筆者がよく使うのは気象庁の紫外線分布図だが、これを使うと自分のいる地域、時間帯でどのくらい紫外線が強いかがリアルタイムでわかる。

ちなみにヤフー知恵袋などでは「夕方17時でも日差しが強いので、日焼け止めをたっぷり塗って対策をしてください」などと回答されているが、個人的にこうした回答は懐疑的である。夏場の17時は確かに日差しこそ強いが、UVインデックスは1程度に下がるため紫外線量は相当弱くなっている。完全にゼロではないものの、最も紫外線が強い10〜14時と比べるとその分量はまったく異なるので少し浴びるくらいになら気にしなくても良いだろう。

紫外線をまったく浴びないとビタミンD不足に陥るという話もあるが、食品から摂取するルートが存在し、紫外線は人目に見えづらい足に短時間浴びることで解決する。

最後に日焼け止めクリームについてである。日傘は手が塞がるので日焼け止めクリームを好む人もいる。確かに地面や建物からの照り返しまで完全に防ぐことはできないので、顔にクリームを塗る合理性はある。しかし、日焼け止めクリームは時間の経過で効力が落ちてくるため、途中で塗り直しが必要になることや、またクリームに配合された成分によっては肌に負担がかかるものもある。日傘とは違った注意が必要だ。

日傘歴20年の効果

筆者は20年前から意識して紫外線を避けてきた。書籍を読み漁り、データを集めて紫外線のダメージを学だことがきっかけだ。

子供の頃は海や山で遊んで皮がむけるほど焼けてしまい、ヒリヒリして夜眠れない経験もしたが、成人してから紫外線を避けたことでそうした経験はない。今でこそ「日傘男子」というキーワードも存在し、じわり市民権を得てきたが20年前はかなり風当たりが強かった。パッと見で女性用デザインの日傘しかなかったし、日傘を使うと「何か深刻な皮膚病なの?」などと言われてきた。からかってきた人も少なくなかった。

しかし、紫外線の蓄積ダメージを考え、周囲の嘲笑に耐えてできるだけ日傘を使ってきた。特別人様に誇れるような美白とは程遠いが、特別シミなど肌トラブルや日焼けはない。日傘を使用する/しない状態を自分自身で水平比較することはできないため、効果検証は容易ではないがおそらく効果はあるだろう。とりあえず精神衛生上、紫外線の浴びっぱなしを回避できているという安心感は大きい。

最近は完全遮光日傘として有名なサンバリア100という傘を買って使用している。値段は13000円と安くはないが、UVカット率は99%ではなく100%で大変心強い。

筆者が使用しているサンバリア100

一般的に日傘は体感温度が5〜7度くらい違うというが、この傘を使って炎天下を歩くと明確に涼しいと感じる。特に今年のような猛暑ではその違いは大きい。

日傘は値段で性能や使いやすさ、堅牢さに大きな違いができるのでできるだけ良いものを買うことを勧めたい。

紫外線に注意を払う男性は女性より圧倒的に少数派だと考える。街なかで真っ黒、真っ赤に日焼けしているのはたいてい男性だ。つまり、紫外線対策をきっちりすることで肌トラブルをはじめ、様々な関連するダメージを回避できる。多くの女性はもう対策を取っているので今さら啓蒙の必要性はないだろう。男性にこそ、日傘の積極利用をおすすめしたいと思う。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。