出口里佐です。
本日は、8月上旬に訪れた、近鉄奈良駅から、徒歩で10分ほどの、ミシュラン二つ星のモダンスパニッシュのレストラン、アコルドゥをご紹介します。アコルドゥは、バスク語で記憶という意味だそうです。
近鉄奈良駅を降りて、アコルドゥに向かっていくと、そこはもう奈良公園。何頭もの鹿が、そこかしこに、観光客とともにくつろいでいます。
ランチタイムに予約していたので、徒歩10分でも、とても暑くて、強い日差しを避けるため、奈良県庁の建物の軒下をつたって、アコルドゥに向かいました。これから秋に向けて過ごしやすい季節になると、駅からお店までのお散歩もきっと楽しいのではと思います。
こちらのお店は、ヨーロッパのレストランの様に看板が控えめというか、目立つ看板はみあたらなく、壁にakordu の文字を見つけて、入口も多分ここだろうと、目星をつけて入りました。
サービスの方に、いらっしゃいませ、暑かったでしょう、どうぞこちらにと、迎えられて、先ずはウェイティングスペースで、爽やかなウェルカムドリンクをいただきました。
お庭が見える明るい場所で、日本家屋的なインテリアでした。
5分ほど待って、レストランの席に移動。こちらもお庭に面した、とても眺めの良い席でした。テーブルには、スプーンのオブジェ。モダンスパニッシュらしく、現代アートの空間です。
最初のお料理は、セビーチェ。
兵庫県産真鯛がセビーチェになってスパイシーな味、とうもろこしの少し甘い冷たいスープ、中に甘いサツマイモが潜んでいました。
次の橿原のアスパラガスは少し硬め、採れたてのシャキシャキ感を味わうため、火入れを控えめにしているそう。オリーブのみじん切りを土に見立てて、ざっくりとふりかけて、ナスタチウムの葉と真っ赤な花びらがアクセント。
御所の米と葛城の鴨と名付けられたお料理は、きゅうりの緑スープの中にお米のジュレと鴨のリエット、チャービルとフェンネルのマイクロハーブがトッピング。きゅうりのスープの田んぼに、マイクロハーブの稲が揺れているイメージです。フェンネルのハーブはエストラゴンの様な香りがしました。
パスタは、三輪山本の手延べ麺、イカと日本的なジェノベーゼという名前。少し緑がかったパスタにほとんど生のイカそうめん、限りなく薄く削られたチーズはパルミジャーノレッジャーノでしょうか。
魚のメインは、赤い金目鯛、蛤、とうもろこしのベニエに緑のバジルと彩りゆたか。蛤の出汁のソースが美味。
お肉のメイン、大和牛のアサードは柔らかで、ラヴェンダーの泡がふんわりと。添えられた若いイチヂクの実はコンフィ、ジャガイモは黄色い珍しい種類のよう、もしかして、インカのめざめ?アサードとはスペイン語で、焼いた、という意味だそうです。お皿の左のニンニクのクリームとラヴェンダーの泡が合いますとスタッフさんがおっしゃっていましたので、混ぜながらいただきました。ラヴェンダーとニンニクは南仏や地中海を感じます。泡にして提供するのはモダンスパニッシュ的。
目の前のお庭の塀の向こうは奈良公園の続きらしく、鹿がひょっこりと、何度もかわるがわる姿を現しました。ぼんやりとその光景をみているだけで、気持ちが和みます。
そしてデザートは、バーベナのジェラート、大和茶のガレットと印象添えという名前。この印象って、何ですか?とお尋ねすると、エアです、と教えてくれましたが、エアって??写真では左側の長方形のものがそれです。これくらいで、分かり過ぎないで、不思議だなぁと思っている方が楽しいこともありますね。
最後のミニャルディーズは、スペイン料理らしくポルボロン。
飲み物は奈良のお茶を何種類もみせてくださった中から、ほうじ茶と紅茶を選びました。
アコルドゥは、今回初めてでしたが、数年前、新橋の奈良県物産館である「まほろば館」で、奈良食材を紹介するイベントに参加したとき、その中のTokiというレストランでアコルドゥ川島シェフの料理をいただいて、お店の存在を知りました。
最先端の洗練されたお料理で、奈良のお魚や肉、野菜が本当に美味しかったという印象が残っていて、いつかアコルドゥでも食べてみたいとずっと思っていました。
現在のTokiのお料理も川島シェフが監修しているそうです。こちらは、2022年にミシュラン一つ星を獲得しています。
川島シェフは33歳のとき、スペイン、バスク地方に渡り、世界レストランランキングで上位のムガリッツで修業された後、2008年に、奈良富雄にアコルドゥを開店。その後、現在の場所に移転。奈良県の食材を中心に地産地消の料理をテーマにされているそうです。
関西に行く機会がありましたら、予約してぜひ訪れてみてください。
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