日本人をめっきり見かけなくなった高級ホテル

日本国内の高級ホテルの宿泊価格が急激に上昇しているようです。

報道によれば、パレスホテル東京の平均客室単価は3月、4月の繁忙期に10万円を初めて超え、2019年に比べ通年でも4割上がっています。

帝国ホテル東京は、2019年3月期に3万6045円だった価格が、2023年4〜6月期は6万円近くまでと、倍近くに引き上げています。

円ベースで考える日本人観光客からすれば大幅な値上がりですが、円安の恩恵を受ける外国人から見れば、ドルベース、ユーロベースでは価格はそれほど上昇していません。

また、海外の大都市のホテルに比べれば、むしろまだ割安感があったりするのです。

今回京都に出かけた際に利用した二条城近くにあるホテルはマリオット系列なので、ポイントで無料宿泊することができました。

ホテルのお部屋もジュニアスイートにアップグレードもしてもらえ、朝食も付いて、チェックアウトの時間まで遅らせてもらえました。

通常予約の宿泊料金を調べてみると、なんと税込22万円。こちらも1年前の約2倍になっていました。

ポイントであれば宿泊しようという気になりますが、さすがに自腹で20万円以上支払ってホテルに泊まる勇気はありません。

ちなみに、このホテルは朝食も一人前6000円以上します。こちらも無料でなければ、注文することを躊躇する価格帯です。

朝食会場に来ている宿泊客のほとんどは外国人。欧米系、アジア系など様々ですが、日本人はほとんどいませんでした。

京都の高級ホテルだけではなく、日本国内の各都市にある高級ホテルは、価格上昇により、日本人には手が届きにくいものになりつつあるようです。

インバウンド来日客がさらに増えれば、高級ホテル側もさらに強気になり、価格を引き上げてくることが予想されます。

私がフル活用しているクレジットカードのポイントによる無料宿泊も、交換ポイントが引き上げられ、いずれ気軽には泊まれなくなってしまうかもしれません。

欧米のような海外だけではなく、国内旅行でさえ、普通の日本人が優雅に旅行できる時代は終わりつつあるようです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年9月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。