内閣改造 or 政党改革?:大改造の声もコアメンバーは変わらずか

ニュースが多かった週ですが、ジャニーズの話題の陰に隠れるように損保ジャパンの白川社長が辞任しました。BM事件当初から辞任は当確で持ち株会社の桜田会長は激怒したことでしょう。そもそも今回の辞任が一人というのはおかしく、営業の責任者が実行犯で白川社長はその声に押されたというのが真相のはず。派閥抗争や社内の力関係というコテコテのニッポンスタイル丸出しで私から言わせれば企業経営の醜態をみせたということでしょう。信用回復には時間がかかりそうです。

では今週のつぶやきをお送りします。

バイデン氏を震撼させた「Mate 60 Pro」問題は頭痛の種の第一歩か?

昨日もちらっと述べたのですが、ほぼスルーだったのでもう一度書きます。ファーウェイの最新型スマホ、「Mate 60 Pro」に搭載されいる7ナノプロセッサーがなぜ中国の国産で出来たのか、アメリカ産業界とバイデン氏が驚愕の面持ちです。この半導体はアメリカのブラックリストにあり関係遮断していた中芯国際集成電路製造製です。なぜ、製造できたのか、アメリカ政府は大慌てで調査していますが、個人的予想はスパイにより技術を盗まれた公算はあり得ると思います。

どのように技術を取得したにせよ、このレベルのスマホが出来たことで中国政府はiPhoneを政争の具にできると喜んだのは確かでしょう。アメリカが中国を締め付ければ、仕返しにアップル社の売り上げの2割を占める中国事業を締め上げ、アップルの中国工場も人質にするスタンスを強めるでしょう。企業レベルでは米中間は極めて大きなビジネスが形成されているので中国からすればアメリカ経済は赤子の手をひねるぐらい簡単に押さえつけることができます。そこまでするのか、という常識は西洋の常識で中国には情けはありません。アリババ社も学習塾産業もアメリカで上場しようとした中国企業群もことごとくやられました。習氏は鬼なのです。

投資のリスクは日々の株価の動きや金利や国内経済動向だけではなく、グローバル化が進んだなかで影響力ある国家の采配1つでどんなことにもなりえるとも言えるのです。金利という側面だけを見れば今週、カナダが利上げをしなかったことでアメリカのFOMCでも利上げは見送れるという「こじつけ」が出来ました。カナダは利上げをし過ぎた影響が経済指標に強く出ており、アメリカも同様のはずですが市場はハードランディングかソフトランディングか、というお気楽議論のレベルです。そんな中で中国がポイと背中を押せば衝撃をもってドンと落ちることはあり得ます。悲観論者のヌリエル ルービニ教授がニヤリとしているかもしれません。

G20は機能しない国連のミニバージョンになり下がったか?

よくもこれだけ国際会議があるものだと思います。要は各国がグループ化を通じて「お仲間」を得て、何か国際問題が生じた時、支援体制を作る「保険」といってもよいと思います。各国首脳も自国の政治スケジュールより優先される国際会議に振り回されています。しかし、それら国際会議も身がある集まりならよいのですが、果たして成果を生んでいるのだろうか、と言われれば個人的にバッサリ断じてしまえば2/3の会議は無くても何ら不自由はないと思います。

インドで始まったG20。トップが来ないロシア、中国に議長国が優柔不断のインドとなれば何が決まるわけでもないでしょう。インドは絶対にYES、NOを決めないのです。自分の都合でいいとこどりをするのが国民性故に今回のG20で首脳宣言はまず出ない、とやる前から断言してもよいでしょう。むしろ西側 VS 中ロとは別にグローバルサウスという切り口、更にはBRICSの連携などバラバラの利害関係と国家間の緊張を改めて認識する結果になりかねません。

バイデン氏も李強首相とは会談予定なしとしています。立ち話の挨拶ぐらいはあるかもしれませんが、バイデン氏は習氏の操り人形の李強氏との会談の価値を見出していません。要はリスペクトが無くなった状態でG20を開催する意義が何処にあるのか、ただ、惰性で毎年国際会議を開催することに役人と政治家は義務感を感じているのだとしたらレベルは相当下がったとも言えます。もう一つ、国際会議が分断する一つのきっかけはウクライナ戦争にあることだけは肝に銘じるべきです。世界を困惑させた、それが実情です。

内閣改造 or 政党改革???

岸田首相が13日に内閣改造を行うことを内部に伝達したようです。一部には大改造という声もあります。また想定外の人事もありそうでメディアやタブロイド系は誰もが大好きな人事話で盛り上がることになりそうです。ただ、重要ポストではあまり変更はなさそうで、麻生、茂木氏の留任はほぼ決まり、公明党の国交省の大臣ポストも今回は継続、官房長官が誰になるかわかりませんが、松野、萩生田両氏は重用されそうです。となればコアメンバーは変わらずということでしょうか?

話題は女性閣僚の扱い。現在は高市、永岡両名のみ。そしてこのところ、旧統一教問題で露出の点からは永岡氏が圧倒的に多く、高市氏は明らかに失速気味。当初、日本初の女性首相候補といわれ、このブログのコメントでもイチオシの声が大きかったのですが、私は初めから可能性はないとみていました。それは人事を長くやっていると人の潜在能力が見えてしまうのです。彼女の場合、融通が利かない、これが閣僚間や役人との軋轢を生みやすいのです。閣議の前に報道陣に公開される座席では首相の隣に華のように座っていますが、さて、高市氏はその椅子を確保できますか、私は無い方に賭けます。

忘れかけていたのが国民民主党の党首選挙で事前予想通り玉木氏が圧勝でした。というより前原氏の立候補は奇をてらったのか、ぐらいでした。問題はここから。自民との連立には踏み込まないと玉木氏は明言しており、たぶんそれは正しい選択肢。なぜなら自民独走の時代は終焉に向かう公算が出てきている以上、目先の与党入りより将来の栄光を目指した方が良いでしょう。もう一つは百田新党で、彼も「腐った自民」と強烈に批判していることから自民の足元が少しずつ軟弱化している事実は重要。とすれば岸田大改造が小手先に終われば一気に新興勢力に押され、内閣の変革ではなく、日本の政治の大改革が期待できるかもしれません。そういえば百田新党に関わる有本香女史は高市氏と大の仲良しでしたよね。袂を分かつのでしょうか?

岸田首相 uschools/iStock

後記
カナダの郵便はCanada Postという会社がサービスを提供するのですが、20日近く前に送った支払いの小切手10数枚が未だ業者に届かず、一部からは泣きが入っています。同様の遅配はあちらこちらから聞かれ郵便サービスの質の低下は大問題です。おまけに22年度の収支は550億円の赤字。民間業者との競争と支払いが小切手から電子送金に代わったこともあります。一昔前は郵便配達人は地域の人のヒーローとされ、引く手あまたの職業とされました。が、一度なればとても楽ちんな職業ともされました。そのあたりの意識が世界で郵便会社の衰退を招いているのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月9日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。