助けてもらえる人、助けてもらえない人

黒坂岳央です。

社会に出て人間関係を作ると2つ分かることがある。それは誰からも積極的に助けてもらえる人と、あまり助けてもらえない人がいるということだ。

筆者はどちらかといえば、困った時には結構手を差し伸べてもらえることが少なくないと思っている。これは本当にありがたいことだ。そして自分自身が思わず助けたくなるような相手と、あまり関わり合いになりたいと思えない相手がいる。この差は一体なんだろうか?助けてもらいやすい人の特徴を独断と偏見でその理由を言語化したい。

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長期的にポジティブ

ポジティブな人は助けてもらいやすいと考える。だが、とにかくポジティブであればなんでもいいというわけではなく、あくまで「長期的に」という条件付きだ。なぜそうなのか?

具体例をあげよう。筆者の知人にパチンコマニアがいる。お金があれば全額パチンコにつぎ込むほどのめり込み、トータルでは大幅に負けて借金まで背負っている。だが彼はとにかくネアカで負けても全然落ち込まない。「次はイケるっしょ!」みたいにいい、一緒にいて笑うことも多い。

だがこの人物と深く会話をして気づことは短期的にはポジティブだが、長期的にはネガティブということだ。彼は長期的な人生の展望を最初から諦めており、「自分の人生は最初から花開くことはないのでもうどうなってもいい。パチンコは最高の気晴らしだ」と人生を絶望視していることをよく言う。自分は若い頃に彼と仲が良かったが、自分自身の人生に忙しくなったという事情もあって、次第に彼とは距離が離れていった。

社会的に成功するような人物はこの逆の思考、短期的にネガティブでも長期的にポジティブと思える人が少なくない。起業してオーナー社長をやって成功している人は短期的な意思決定やリスクテイクにはかなり慎重で、できるだけリサーチをする。短期的にはあらゆる最悪のリスクを想定し、時にネガティブに感じることもあるが、長期的には挑戦をやめなければ勝ちを確信するような顔を見せる。最後は思い切りの良さで挑戦して失敗と改善を経て成功するという勝ちパターンを持っている。

こういう人は応援したくなる。経済的な見返りを期待して、という意味ではなく応援した結果花開くことで自分も成功体験のお手伝いとおすそ分けを受けるような気持ちになれるからだ。人間、誰しも努力して勝ってくれそうな相手を応援したくなるのではないだろうか。

具体的に感謝を伝えられる

「人助けをする時は見返りなんて期待するのは図々しい!世の中支え合いでしょう」といった趣旨の主張をする人がいる。その主張は否定しない。それに経済的な見返りを期待するならもはや人助けではなく、それはビジネスの範疇といえる。

だが、誰しも心のどこかでは「相手から感謝」によって自己愛を満たせればいいという淡い期待を抱く事が多いのではないだろうか。これは金銭的なリターンではなく、精神的充足のリターンを求めているということだ。

たとえば会社では上司が部下をフォローするのは立場上、当然のことである。そのために上司という役職がついている。時間と労力をかけて部下を叱咤激励し、時にはモチベーションを高める応援をすることがある。その結果、感謝の言葉と仕事へのコミットメントでお返しがあれば上司も「手が掛かるが助けたかいがあった」と思うだろう。

だが、もしも部下から「あなたは上司なのだから自分を助けて当然、当たり前でしょう」といった態度で返されれば、もう積極的に相手を助けたいと思わないのではないだろうか。助けてもらって当たり前、当然という顔をしてしまうと積極的に助けてくれる人は減ってしまうと思うのだ。

筆者の知人女性にとてつもなく感謝上手な人がいる。その女性は具体的にどう助かったのか?どう気持ちが救われたのか?を丁寧に説明してくれ、深く感謝の気持ちを相手に伝えるから、周囲は彼女の「助け合戦」みたいになっていることがある。世の中、助けた相手から感謝を示してもらいたいという人は多い。感謝上手になれれば、積極的に助けてもらえる機会が多くなるのではないだろうか。

先に助ける人

世の中には「やってくれたらその分だけは返すけど、自分からは助けない」という価値観の人がいる。別に悪いことだとは言わないが、こういうリスクの先取りができない人より、自分が先に助けるというリスクテイカーの人が得をすることが多いと感じる。

特にビジネスではそうだ。商品サービスに申し込みをする支払い前にあれこれ有益な情報を出し惜しみせず、ガンガン出してくれる事業者がいる。旅行のオプショナルツアーに申し込みをしようとした時には「この時期はこういう点に気をつけると楽しめますよ」といった具合だ。

このようにこちらの立場で考え、旅行を最大限楽しむための情報を積極的に出してくれる業者はとても印象がよく、数ある業者の中からその会社へ申し込むようにすることが多い。なぜなら、電話口やEメールで溢れ出る高いホスピタリティは、現地に行っても最高の対応で迎えてくれる事が少なくない、このことを体感的に知っているからだ。

業者側の立場で考えると情報を出しても顧客が申し込みをしてくれなかったら、出した分だけ時間と労力を損をしてしまう。件の業者は先にリスクを取ってくれているのだ。

世の中は人と人との関係で成り立っている。見返りを期待して助けてもらう、というのは助け合いというよりビジネスに近い。困った時にみんな離れてしまうのではなく、むしろ手を差し伸べてもらえるような状態は知識と技術で作ることができるのではないだろうか。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。