未だに「投資信託=儲からない商品」と思い込んでいる残念な人たち

個人投資家の集まりに顔を出す機会がありました。来年からスタートする新しいNISAが話題になる中で日本人の投資熱が高まっているのを実感しました。

その中のにいた投資未経験者の人から、ネット証券で口座開設しても何に投資して良いかわからないと相談を受けたので

「インデックスファンドで積立するのがまずはベストな方法」

とアドバイスしました。すると同じテーブルにいた長年投資をしてきたと思われる投資家が

「投資信託って儲からないからやめた方が良い」

と横槍を入れてきました。

その理由を聞くと、株式より取引コストが高く、手数料ばかり取られて結局儲からないという説明です。

どうやら、20年以上前の自分の経験を未だに引きずっているようです。

確かに、かつての投資信託は、証券会社の店頭で購入時に販売手数料3%を取られ、さらに年間の信託報酬が2%近い商品も珍しくありませんでした。これだけぼったくられれば、儲かる訳がありません。

しかし、今や投資信託の手数料については価格競争が激化し、手数料は大幅に低下しています。

ネット証券で販売する投資信託は販売手数料がかからないノーロードファンドがほとんどとなりました。信託報酬もインデックスファンドでは0.1%以下のものを珍しくありません。

例えば、三菱UFJアセットマネジメントが運用するeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は、年間0.05775%に過ぎません。

投資残高が100万円として計算しても、年間わずか600円足らずです。投資信託が高コストだと言うのは、かつての店舗型証券が主流だった過去の話です。

投資環境を見ても、この3年で株式のインデックスは日本株式で54.9%、グローバル株式では71.0%の上昇となっています。

株式の個別銘柄に投資をして、銘柄選択を間違えたりする位であれば、インデックスファンドで着実にリターンを取る方が賢明です。

未だに「投資信託=儲からない商品」と思い込んでいる人がいるのには驚きますが、問題はこのような誤った情報を信じてしまう人が多いことです。

本人が勉強不足のせいで、投資の成果をあげられないのは自由です。しかし、誤った情報で周囲の人を巻き込むのはやめて欲しいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。