ブッキングドットコムは経営危機でないなら、単に無能なだけ?

先月から続いていたブッキングドットコムの宿泊料金未払い問題。ブログでもしつこく追及し、メディアが大きく取り上げたことから風向きが変わりました。

そして、昨日ようやく未払いだった残りの456,000円が口座に入金され、私を含めた提訴したメンバー全員の支払いが完了しました。

それにしても、未だにわからないのは、未払いがここまで長期化した理由です。

新しいシステムへの移行に伴う、システムトラブルという説明でしたが、そんな場合はマニュアル対応で応急処置を行い、数日で対応できると考えるのが常識的な見方です。

長期化している背景として、システムの問題というのは実は言い逃れで、実際には何らかの別の大きな問題で資金繰りに窮して、経営危機に陥っているのではないか。一時は、そんな疑念も持ちました。

しかし、株価を見ても一時は下落傾向でしたが、ここにきてまた上昇しており整合性がありません。

結局、提訴した宿泊施設運営者全員の未払い金が戻ってきた今となっては、それらの推測はどれもしっくりしないままです。

とすれば、考えられる原因は、ブッキングドットコムの財務部門の処理能力が想定以上に低かったことしかありません。失礼な言い方になりますが、無能だったということです。

いずれにしても、昨日で未入金がすべて完了したことで、未払い金問題は取り敢えず解決しました。

今後は遅延損害金や遅延に伴う損失の補填などを、ブッキングドットコム社と交渉していくことになります。

そして、これからも民泊物件の予約にブッキングドットコム社のサービスを使うべきかどうかも考えなければなりません(写真は都内で運営している物件)。実は、これが目下で最も悩ましい問題です。

なお、今回の騒動は日経ビジネスから取材が入り、来月発売号にその顛末が掲載される予定です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。