突然SNSから消える人間関係リセットはあり?

黒坂岳央です。

「人間関係リセット症候群」というワードがXとYahoo!ニュースでバズり、賛否両論を巻き起こしている。

「疲れたら無理に付き合わなくていい」という賛成派の声や、「自己中で一方的。離れられる側の気持ちを考えて」という反対派の声があった。この現象に対しての個人的見解を述べたい。

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煩わしい人間関係をリセットできる現代

結論から言えば、個人的に人間関係リセットには賛成である。

昭和は人間関係は簡単に切ることは許されなかった時代だった。バブル期はモーレツ社員という言葉が生まれ、今とは比べ物にならない残業で一日の大半を会社で過ごす人が多かった時代である。一企業内の極度に狭い人間関係のコミュニティではみ出し者になれば身を滅ぼす結果になる。転職も起業も投資も今ほどフランクに手を出すことができない。多少人間関係に疲れても我慢して付き合うことを余儀なくされただろう。

一方で現代は人間関係は希薄になり、生きていくための選択肢は無数にある。SNSにおける人間関係は1秒でくっつき、1秒で離れるドライさがあり、合う人だけと付き合い、合わない人とは距離を置く、そんなワガママスタイルが許される。今でも組織で行動する会社員の世界で人間関係を無碍にすることは難しいが、実力があればフリーで自分がお客さんを選ぶ人もいる。個人投資家になれば、付き合う相手は相場でありもはや人間ではなくなる。

令和は煩わしい人間関係をリセットしても生きていける、そういう時代なのだ(家族は別)。

ズッ友は本当に理想なのか?

学生時代からの旧友と仲良くしたり、地元の友だちを大事にするズッ友という考え方がある。別にそうする人を否定するつもりはないし、特に高学歴エリート層ではクラスメイトが医師、弁護士、経営者、投資家と有力者ばかりになるから、そういったズッ友が社会的な人的ネットワークの強みになる事実はあるだろう。

一方で筆者のように20代前半まで「できない側」の人間には、ズッ友の良さが頭では理解できても肌感覚ではわからないということが起きる。過去記事にも書いたが、地上波テレビに出たりYahooニュースや雑誌に載るとそれを見た旧友から連絡をもらうことがある。個人的にそうした連絡は嬉しいし、ぜひ食事でもしながら久しぶりに楽しくしゃべりたいという考えはある。だが、これがなかなかうまくいかない。こちらは損得勘定なしでただ楽しく話したいと思っていても、相手からお金を貸してほしいとか仕事がほしいといった金銭的メリットを求められることが続いたからだ。久しぶりに会うと「今お金に困ってて…」と切り出されると「会ってくれたのはお金目的だったの?」と残念に感じてしまうことがある。

また、そうした状況でなくても旧友と久しぶりに会うと距離を感じる事が少なくないのだ。一度だけ中学生の同窓会にいったことがあるのだが、酒が入って喧嘩をはじめてその仲裁に入ることになったり、「あいつ気に食わないから先輩に頼んでしばく」と子供じみたことを言われたり、昔のクラスメイトとの力関係の認識が続いており「ちょっとジュース買ってきて」みたくパシろうとしてきたりと、あまり気持ち良い関係にはならないことが多かった。

筆者はタイトルの通り、人間関係リセット症候群の感染者である。合わないと思ったら離れればいい。なんともドライで冷たいと感じるかもしれないが本来、他人との距離感なんてそのくらいでいいと思っている。お互いにリスペクトが維持できない関係は、必ず片方が重荷に感じるものなのだ。そうした窮屈でしんどい人間関係に我慢するのは、会社の上司部下だけでいいのではないだろうか。

どちらかといえば、高齢者はよりウェットで深い人間関係を好む傾向にあると感じることが多く「あなたは冷たい人だ」と言われてしまったこともあった。だが自分は「合う人と合う部分だけでお互い快適に付き合う」でいいと思っている。

自分は海外へYouTube動画を英語で発信するチャンネルを持っているのだが、毎回、動画にコメントをつけてくれる熱心なギリシャ人視聴者がいる。筆者の思考や価値観を理解したい、お互いの文化の差異を冷静にわかった上でリスペクトを持ってコミュニケーションを試みたいという姿勢が伝わってきて大変嬉しく感じる。日本人同士でもこれほど心通おうというコミュニケーションを感じることは少ないので、地球の裏側で価値観や相互理解の手を差し伸べられることは大変うれしい。そう、世の中には80億人も母数がいるのだ。合う人だけ合う部分で付き合う、間違っても自分と合わない人にまで必死に媚びたり顔色を伺って自分の人生を消耗する必要はないだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。