万一の場合に「医者が免責される」というちょっと怖い花粉症治療

スギ花粉アレルギーの治療法として、シダキュアという薬を使った舌下免疫療法があります。

これは、薬によってアレルギー反応に徐々に体を慣らすことによって、症状を改善していく長期的な免疫治療法です。

1日1回処方された錠剤を舌の下側で溶かして服用していくだけ。時間はかかりますが、治療が完了しなくても、少しずつ症状が改善することが期待できます。

花粉症の診断を受ければ、保険が適用され、経済的な負担は毎月3000円程度とそれほど大きくありません。

何より長期で継続するという治療方法が、私の性格にぴったりです。

しかし、今年の花粉症の流行と製薬会社の生産能力の問題で、このシダキュアが現在不足しています。特に、導入時に使用する成分量2,000単位の錠剤が手に入らない状態です。

そこで、私が治療を受けているクリニックから提案があったのが、成分量5,000単位の錠剤を自分で半分にカットして(写真)、服用を始める変則的な方法です。

5,000単位の半分だと2,500単位ですから、通常の導入治療の量よりやや多くなりますが、問題がないとの説明でした。

来年になると、花粉症シーズンが始まり、治療を開始することができなくなります。

年内に始めないと、また1年先になってしまいます。早く始めた方が良いと考え、今週から治療を開始しました。

販売されている薬を、医者のアドバイスとはいえ、服用する人が勝手に半分に切断して服用する。このような使い方をするのは初めてです。

実際、説明書にも製造している製薬会社からは推奨されていない方法と明記されています。

イレギュラーな治療であるせいか、クリニックから同意書へのサインを求められました。

万が一の場合、クリニックは最善の医療的サポートは約束するものの、免責されるという内容です。

この治療法は、ごく稀にアナフィラキシーショックの発生リスクがあるようですが、それ以外はそれほど大きな副作用は懸念されていません。同意書にサインをして処方してもらいました。

まずは半分にカットしたシダキュアを8日間服用します。その後は、通常の1錠を毎日忘れずに、舌下摂取していきます。

来年、春のスギ花粉シーズンに、早速どの程度の効果があるのか。リアル人体実験の成果に今から興味津々です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年12月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。