40代以降は「かっこいい人」の基準が変わる

黒坂岳央です。

人間は年をとるごとに価値観はドンドン変化する。生まれ持った性格や気質はそのままでも、価値観の変化で思考や行動は変わってしまう。

その中でも「この人かっこいいな。尊敬できるな」と思う人の基準は若い頃と違ってくる事が多いのではないだろうか。10代は学業、20代や30代は仕事で活躍する人や影響力を持つ人に憧れる傾向が強いと思うが、40代以降はそこからまた変化すると思うのだ。

独断と偏見による見解を取り上げたい。

jeffbergen/iStock

1. 挑戦する人

一見、すべての年代において「挑戦する人はかっこいい」と思えるかもしれないが、40代以降はその傾向がさらに強まると感じる。なぜなら、年をとるごとに挑戦する人はドンドン減ってしまうためだ。

年を取って人生経験を積み、周囲の人たちを見て「リスクを取って挑戦しても報われることは少ない」「新しいことを学ぶのは面倒でついていけるか不安」と考えてしまいがちだ。そうなると保守的になり、今の生活や仕事の現状維持が第一義的になる人は多い。家庭を持つことで仕事だけ頑張るわけにはいかない人もいる。

そういう事情があるにも関わらず、40代以降から自分の可能性に挑戦する人は頭一つ抜ける。20代なら「オレやってやりますよ!」と威勢のいい人を見つけることは難しくないが、40代以降で牙を剥いている人は本当にみない。だから「この人は違うな」と思うし、挑戦する姿勢はかっこよく映る。

挑戦、といっても起業したビジネスを10億円でバイアウトしてそのキャッシュで運用して…みたいなドラマになりそうなど派手なものに限らない。若い頃挑戦しても実らなかった外国語学習や週末に副業に挑戦する、といったもので十分立派な活動だ。40代以降で年齢を言い訳にせず頑張る人は尊敬に値する人物である。

2. 元気な人

40代以降はどうしても「枯れる」イメージを持つ人も多いのではないだろうか。若い頃はスポーツに明け暮れ、テストステロン値が見るからに高そうな人でも、その先の人生を悟ったような顔を見せたりする。自分はたまに昔のクラスメイトに再会することがあるのだが、「自分の人生は後はただの消化試合だよ」と冷笑したりする。

だからこそ、40代以降で元気な人、明るい人は目立つ。体の奥からみなぎるエネルギー、生命力を感じるから魅力的に映るし、ともすればすぐネガティブになりがちな思考をどうやって健全に保っているのか?とメンタルマネジメントに興味も湧く。

そういう人に話を聞いてみると、たいてい夢中になっている活動をしている。取得した外国語を使って外国人と交流したり、起業したビジネスで勝負していたり、筋トレを頑張っていたりする。中には子供の頃の趣味を爆発させ、YouTubeチャンネルでお披露目して人気を博すチャンネルになっていたりする。

枯れていく年代でパッと明るい人はやはり魅力的だと思うのだ。

3. 利他的精神

これは自分自身も意識するように努力しているのだが、40代以降で利他的行動を徹底している人は心から尊敬に値すると思う。

人間は誰しも自分のために行動するし、得のない行動をする人なんて誰ひとりいない。「親は子供に無償の愛を注ぐ」などと言われるが、おいしい料理を振る舞ったり、公園で遊ばせたりする行動も「子供の喜ぶ顔を見たい」という自分にとっての得で、それを求めて行動していると言える。そもそも、子供は自分の遺伝子を運ぶ大事な乗り物なので、自分自身と同じくらい丁重に扱う理由もあげられる。

その上で「自分の得以上に社会への得を優先する」という人は一定数いる。マズローの5段階欲求で言う自己実現欲求に達したビジネスマンなどがそうだ。もちろん、ビジネスをすることは間違いなく自分自身にもメリットがあるのだが、それ以上に「仕事を通じてもっと日本を良くしたい、社会を良くしたい」という利他的な志をしっかり感じられ、実践している人は本当に素晴らしいと思うしかっこいい。

自分も矮小な存在ながら、地元で子供たちの役に立つ活動であれば積極的に無償で対応させてもらうこともある。自分が社会の役に立っているという実感は、時にお金以上に大きな報酬に感じることもある。

4. 許す器

最後は相手を許す器の持ち主である。時折、不義理なことをされているのに大きな心で相手を許す人がいる。これはなかなかできないことだ。若い頃は「もうするなよ!」と流すことができても、40代以降となると「人は本質的には変わらない」と考えて相手を許すことがどうしても難しくなっていくのではないだろうか。

知人の経営者は会社のお金を盗んだ従業員と話をして相手を許した。結果、従業員は後日両親を連れ、改めて謝罪して社長の懐の深さに感動、その後は一生懸命仕事をしてくれるようになったといっていた。なかなか聞かない美談であり、そうはいかないことも多い世の中だが「社長の器はすごいな」と個人的に大きく心が動いた話だった。

ビジネスをして色んな人間関係を持つと不誠実な人、悪意を持った人に迷惑をかけられることは日常茶飯事である。「他人は変えられない。他人は信用しても期待はしない」という哲学を持つと、どうしても不誠実へのカウンターとして「損切り」が最も合理的選択肢になってしまう。だが、すぐにバッサバッサと切ってしまうだけでは、その後大きく発展していたかもしれない関係性まるごと捨てているということになる。

この点については自分も大変未熟な人間と自覚しており、日々試行錯誤しながら許すことの難しさに悩んでいる。だからこそ、これを自然にできる人は本当にすごいと思うのだ。

他にも中年太りせず理想的な体型維持をしたり、外見を磨き続けているということもすごいと思う要素ではあるものの、あくまで内面の精神世界に限定した話で言えば上記の4つが挙げられる。40代以降はますます「人間の魅力は中身」になっていくと思うのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。