サイレント削除ですか
読売新聞「穴水高校自販機破壊で金銭盗む」記事をサイレント削除
石川県穴水町で能登半島地震の避難所として機能している穴水高校に関して、読売新聞が1月1日20時頃の出来事だとして「自販機壊し金銭盗む」とする記事を5日に掲載していましたが、サイレント削除していました。
本件は当該高校に実際に避難していると主張する者が読売報道につき実態と異なるとしてSNS上で発信し、その後、6日深夜に北國新聞が取材して「窃盗」を否定し、「避難者用に飲用水を確保するため」と報じました。
避難者によると、穴水高校は避難所として想定されてなかったが臨時で使用することとなったため備蓄が無く、自販機は当時停電しており簡単に開けられる状態ではなかった、破壊は高校の事務局長が承認して飲料水を取り出す際に高校生も協力しており、金銭はその事務局長が管理しているということでした。
穴水高校の自販機破壊「避難者用飲料水確保のため」と北國新聞:避難者のネット上の指摘通りか:読売記事はyahooコメント閉鎖
読売新聞記事やX上の投稿の魚拓やyahooコメントなど
消されてしまった読売新聞記事等の魚拓を貼り付けます。
記事本文の魚拓⇒石川・穴水の避難所、40~50代の集団が自販機破壊し金銭盗む…目撃者「避難所がパニックに」2024/01/06 06:38
当該記事をシェアする読売新聞オンラインXアカウントの投稿の魚拓(キャッシュの魚拓)
Yahooに掲載された当該記事の魚拓(コメント欄は記事存在時点から閉鎖された)
読売新聞報道の違和感と誤報後の対応への期待
最初に、読売新聞の報道記事を読んだ最初の印象を述べます。
- 読売記事では自動販売機を壊した人が乗り付けた車についてわざわざ「金沢ナンバー」と書いていましたが、他地域のナンバーを強調する意味がなく不自然
- 特に1月1日というのは帰省する者が多いのは一般的事実で、能登の近隣の金沢ナンバーの車があるのは通常想定できるため、これでは「外部から窃盗のためにやってきた」というストーリーありきで書いたと疑わざるを得ない
※実際、避難者の説明では学校に止まっていた車は帰省者も居り他県ナンバーが普通にあったとのこと - 読売記事では「100人ほどが非難していた学校という目の付く場所の自販機を4,5人で狙った」ということになりますが、被災してる地域でせいぜい最大5~7万円程度の自販機内の金銭目当てに窃盗をやるにはリスクリターンが合わなすぎるので「犯行」自体に疑問
- 「避難所はパニック」と書いているのに「30代男性の目撃証言」以外の取材の形跡は校長に聞いたものしかないのも物足りなさがある
で、避難者の方は「校長は4日に来た」と言っており、ならば「1日当日に居た実質的な管理者・責任者は別に居る」という想定ができれば事務局長にアプローチできたはず。
7日16時の段階では未だ読売新聞オンライン上では「誤報」の報告は無く削除理由も書かれていませんが、今回のは誤報と言わざるを得ません。
なぜなら、窃盗罪の構成要件事実としての「窃取」の事実=占有者の意思に反して自己又は第三者の占有に移転させる行為が欠けているからです。単なる法的評価を誤ったというにとどまることはできません。たとえそう報じたことにやむを得ない事情(=校長に聞いたら盗まれていた認識があった)があったとしても。
「誤報」という扱いにしたくないのかもしれないですが、それを認めた上で、混乱の最中での取材で関係者の認識に行き違いがあっただとか、そういう認識ならば細かい点はともかく納得はできると思うのです。
被災地に入って現地の状況を伝えることのできるメディアは限られているので、期待したいと思います。
以上
編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2024年1月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。