カンボジアと日本の「経済格差」は「気温差」ほど大きくない

インナーサークル資産設計実践会メンバーとカンボジアのスタディツアーに出かけます。今回は総勢20名でプノンペンの不動産視察が主目的です(写真は2022年のスタディツアー)。

東京も最近は朝は冷え込み、今朝の最低気温は摂氏1度です。ダウンを着ないと耐えられない寒さですが、カンボジアのプノンペンの最高気温は33度との連絡が入りました。気温差30度以上ということで、短パン、水着、サンダルは欠かせません。

気温差が大きいカンボジア(プノンペン)と日本(東京)ですが、経済格差は確実に小さくなっています。

30年前よりもむしろ貧しくなっているように見える日本人とは対照的に、カンボジアのプノンペン中心部にいる人たちの生活スタイルは毎回訪問する度に向上しているのを実感します。

親戚の子供に1~2年会わないと、急に大きくなっていた。そんな感じです。

プノンペン中心部にはスターバックスが当たり前のように立ち並び、丸亀製麺や吉野家といった日本の人気ファストフードも大人気です。

東京の麻布台ヒルズにオープンして話題になっている「4P‘s」も既に数年前からプノンペンで営業しています。

確かに、一人当たりのGDPで見ると未だにカンボジアと日本の数字には大きな開きがあります。

プノンペンも郊外に行けば、未だに日本の戦前のような生活をしているカンボジアの人たちがたくさんいます。しかし、カンボジアの首都プノンペンで働く人たちの給与は日本レベルに急速に近づいています。

カンボジアの長期滞在ビザは、5万ドルの投資と5万ドルの申請費用で合計10万ドル(1,450万円)かかります。

新興国だと思っていたカンボジアに日本人の多くはもはや長期滞在する資格すらなかなか取れなくなってきているのです。

南国カンボジアと冬の日本の寒暖差は30年前と変わりません。しかし、経済格差は都市部で見れば今やほとんど変わらないと言っても過言ではない状態に近づきつつあることを忘れてはいけません。

プノンペン中心部に住んでいる人よりも日本の地方在住者の方が「田舎者」なのです。

tbradford/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年1月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。