外国人の国保と生活保護へのただ乗りを許すな

池田 信夫

ガーナ国籍のシアウ・ジョンソン・クワク(33)が、千葉市が生活保護の申請を却下したのは違法だと訴えた行政訴訟で、千葉地裁は16日、原告の請求を却下した。

外国人にも生活保護を求める左翼とマスコミ

この裁判をめぐっては、朝日新聞や東京新聞がお涙ちょうだいのキャンペーンを続けてきたが、裁判所は「外国人は生活保護の対象ではない」という生活保護法の規定にもとづいて判断したわけだ。

このガーナ人は2015年に来日し、16年に日本語学校を卒業後、パン工場などでアルバイトをしたが、18年に慢性腎不全と診断された。障害者1級と認定され、人工透析を受けているが、在留資格は治療を受けるための「特定活動」に変わり、就労できない。

これでは生活できないので、彼は左翼系の「支援団体」に頼って生活保護の受給を求め、千葉市に2回申請したが却下。これを不服として訴訟を起こしたものだ。ここには二つの問題がある。

外国人が無料で透析を受けられる

国民健康保険は、日本に3ヶ月以上滞在する外国人なら誰でも加入でき、高額療養費制度も適用される。病歴のチェックも行なわないので、糖尿病を隠して国保に加入し、透析が必要と診断されると障害者と認定され、保険料も窓口負担も無料になる。

つまり慢性腎不全の外国人が国保に加入すると、自己負担ゼロで透析を受けることができるのだ。透析は実費だと年間約500万円だから、彼が今後40年生きるとすると、国保から約2億円が支払われることになる。

これは癌と知りながら癌保険に入るようなモラルハザードであり、これを許すと保険は成り立たない。このような日本の「国民皆保険」の欠陥をねらって日本にやってくる外国人は後を絶たない。

糖尿病は知られざる死の病で、毎年全世界で670万人が死んでいる。途上国でも農業ができて穀物が食えるようになったものの、それ以外の食物がないため、栄養が糖質に片寄ってしまうからだ。日本が「透析天国」であることがわかると、世界中から糖尿病患者が押し寄せるだろう。

永住権のない外国人が生活保護を申請する

生活保護を受けると、毎月約13万円の生活費が支給されるばかりでなく、医療費は無料である。どんな高度医療も高価な新薬も無料なので、多くの病院で薬を処方してもらって横流しする人も多い。

生活保護法では、その対象を「生活に困窮するすべての国民」と定めている。この「国民」とは日本国籍をもつ人のことで、2014年の最高裁判決で「外国人は生活保護法の対象ではなく、受給権もない」と判断した。

16日の判決で千葉地裁の岡山忠広裁判長は「生活保護法が保護の対象とする『国民』は日本国民であり、外国人は含まれない」と指摘し、「外国人については永住者などの資格を持つ人を対象に自治体の裁量で生活保護に準じた支給を行うが、原告は永住者などに該当しない」として訴えを退けた。

原告はこれに対して「働けなくなったら使い捨てするのは非人間的だ」というが、解決策は簡単である。本国に帰って透析を受ければいいのだ。ガーナにも透析施設はある。

徳洲会の透析センター

このガーナ人は「わたしはにんげんです。ろぼっとではありません」と陳述書に書いているが、残念ながら社会保障はすべての人類の生活を保障するものではない。それは国家の中で人生が完結することを前提にして、国家が国民の生活を保障する制度なので、フリードマンもいうように自由な移民とは両立しないのだ。

このように日本の国保や生活保護はモラルハザードの温床である。特に透析(腎臓内科)は後期高齢者が増えるに従って急成長しており、これが途上国の糖尿病患者にねらわれるおそれが強い。少なくとも国籍の制限は厳格に運用し、ただ乗りを防ぐ必要がある。