60歳になったらお金を増やすのをやめなさい

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私の仕事のミッションは、日本人のお金との付き合い方を変えることです。

投資のリスクを恐れて、預金ばかりしていて「リスクを取らないリスク」を抱えている人を1人でも減らし、自分が働くのではなくお金に働いてもらう仕組みを作ることを提案しています。

これまで、お金を増やすことだけを考えて、自分も資産運用を行いながら、お金に関する「人体実験」した情報を提供してきました。

しかし、私自身も還暦を間近に控え、考え方が変わってきました。

以前のブログにも書いたように、そもそもシニアになったら株式投資はやめた方が良いと思っていました。

それより更に一歩踏み込んで、お金を増やすことより減らすことを考えるべきだと思うようになりました。自分にとって有意義なお金の使い方を真剣に考えて、資産を減らすことを恐れないライフスタイルを実践することです。

子供や孫のような次の世代に資産を残したいのであれば、貯め続けるのでも良いかもしれません。

しかし、目的の無いお金を増やすために人生の大切な時間を費やすのであれば、例えお金が増えなくても、その時間を自分のために使うべきだと思うのです。

また、老後を過剰に不安に感じて、節約する。資産が減らないようにやりたいことを我慢して、その結果使いきれない資産を残して一生を終えるのなら、お金を使って悔いのない毎日を送るべきです。

リタイアしてからも、お金は必要で大切な事には変わりありません。でも、年齢を重ねるにつれ、使う金額は減っていきます。

例えば、海外旅行は体力が無ければ行けませんし、食べる量も減っていきます。お酒も飲まなくなるかもしれません。出かける機会が減れば、お金を使うことも減っていきます。

60代以降の人生の後半戦では、それまでのお金に対するマインドを大きく転換し、お金を増やすのではなく、むしろ使って資産を減らすべきだと提案します。

様々な書籍で紹介されている死ぬ時に後悔する事の上位には「働き過ぎなければ良かった」「やりたい事をやれば良かった」といった項目が上位にきます。

お金のために働きすぎたり、節約してやりたい事を我慢する人生は、将来大きな後悔をもたらす可能性が高いのです。

人生はいつ終わるか誰にもわかりません。ただ確実なことは、すべての人がいつか人生を終えるということです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。