Eメールはもうオワコンなのか?

黒坂岳央です。

最近、どんどんEメールが使いづらくなっている。迷惑メールがあまりにも多すぎるのその理由の一つだ。

Gmailでは段階的にセキュリティ強化に取り組んでおり、2024年2月から送信ドメイン認証のないメールは届かなくなった。デロイトの調査によると、サイバー攻撃の91%はEメールが入口になっているという。昨今、対人コミュニケーションツールはチャットかLineを好む人がほとんどだろう。

Eメールはオワコンになるのか?個人的に他のアプリにはない非常に使いやすいツールであるため、今後も残ると思っている。その根拠を述べたい。

Tippapatt/iStock

チャットにはないEメール4つの優位性

Eメールには確かに不便なことはある。セキュリティが強すぎて、「迷惑メールではない」と何度チェックしても、次回メールも迷惑メールに入ってしまったり、そもそも迷惑メールボックスにすら入らず受信不可となるケースもある。受け取りたいのに受け取れない、この場合にユーザー側が原因究明、対応をしなければならないため非常に面倒でもある。だがそれでもEメールにはLineやチャットにはないメリットがいくつもある。

1つ目はメインアカウントを汚さない。ビジネスチャットやLineは多くの場合、使用するアカウントはたった1つということが少なくない。そうなるとプライベートとビジネスで使い分けるのが難しいし、できても手間だ。一方、Eメールなら用途別に気軽に複数のアドレスを持つことができる。たとえば名刺や不特定多数の人の目に触れる場所にアドレスを晒すと、勝手に相手から「公式メールマガジン笑」に登録をされ、実質的な迷惑メールを送りつけるような迷惑な人にも対抗が可能だ。相手としばらくやり取りをして問題ない人なら、メインのアドレスを伝えて今後はメインアドレスでやり取りをすればいい。

2つ目は友達登録をしなくても届くということである。たった1回だけのやり取りをするためにわざわざ友だち登録をするのは面倒である。また、登録後にその1回の登録がきっかけで頻繁にセールスされるのも不快と感じる人もいるだろう。特に法人への技術的な問い合わせなどの場合はそれが顕著である。登録後にもう今後連絡することがない相手をリストから探して削除したりと整理の手間がかかる。しかし、Eメールなら送信してやり取り後は関係性はその時点で終わる。とても気楽だ。

3つ目は過去のやり取りを簡単に取り出せるということである。チャットやLineになると過去のやり取りを発掘するのにスクロールの手間をかけて戻らなければいけない。場合によってはあまりに昔のやり取りは消えて見られなくなることもある。だがEメールは簡単に検索できるし、遡って内容を見ることも簡単である。

最後、4つ目はGmailに実装されている送信予約機能である。これは大変便利だ。たとえば筆者は日中に作成したメールは当日中には送らない。必ず、翌日以降に送信予約に入れる。送信前に翌日最終チェックをして送るのだ。こうすることで一時的に感情の高ぶりが盛り込まれてしまっている内容を冷静な頭で再確認し、送信前に修正できるのである。

個人的にはEメールは残って欲しい。Line、ChatWork、Skype、X、その他複数のビジネスコミュニケーションツールを使いわけているが、やはりEメールならではの優位性は確実にある。Eメールを使う人は減っても、オワコンにはならないのではないだろうか。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。