あなたは速読派?熟読派?それぞれの「メリット・デメリット」とは?

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最近、読書人口が増加しています。文化庁の調査でも、「本を読んだ人」の割合は増えているとの調査結果が報告されており、コロナ禍で自宅時間が増えたことが要因として考えられます。

読書人口の増加と読書の目的

それに呼応するように読書に関するイベントやサービスも急増。たとえば、ビブリオバトルや読書会などのイベントは、全国各地で開催されています。また、オンライン書店や電子書籍の普及により、読書のハードルが下がったことでも、読書率の上昇につながっていると考えられます。

一般的に、読書術は、本を速く読むための技術として考えられています。読書速度をアップさせることができれば、効率的に大量の本を読むことができるからです。すでに、速読の手法はいくつか存在しており、そのなかには短時間で大量の本を読むことができるという手法もあります。

速読に関する研究も盛んです(後ほど紹介します)。それだけ、「本を読むのが遅い」と感じている人が多いということでしょう。眼球運動と視野の広さのトレーニングについて興味深い研究結果があります。森田愛子氏(広島大学教授)は簡易な速読トレーニングを作成しています。それによれば、日本人の平均読書速度は500〜800文字/分であることがわかります。

速読と熟読の違いと読書方法

私の読書スタイルは速読ではありません。小学校から続けているスキミング読みに近い方法で、1冊を約10分で読んでいます。

一方で、熟読を好む人もいます。本をゆったりと熟読して、本の世界にどっぷり入り込める時間はまさに至福です。

とはいえ、一字一句、長い時間をかけて本を読むことは、時間がたっぷりあるときならまだしも、限られた時間で読まなくてはいけないときには、なかなか難しいものですまた、熟読すれば、本の内容が身につくとも限りません。熟読しても1週間もたてば内容なんてほとんど忘れているからです。

では、どうすれば効率的に読書を楽しむことができるのでしょうか?重要なことは、読書の目的を明確にすることです。

私は速読に関しては少々懐疑的な立場をとっています。なぜならば、速読が読解力を低下させる可能性があるからです。速読の効果は個人差が大きく、すべての人に効果があるわけではありません。一定レベル以上に速読速度を上げることが困難であることも理由です。

速読には効果があるのか

世の中には、速読効果をうたっている講座も多く見受けます。高額なフィーを支払ったにも関わらず、再現性が乏しい講座も存在します。たとえば、ある講座を100人が受けたとします。2〜3割くらいの人になんらかの効果があるなら意味はあるといえるでしょう。

しかし、数人しか効果がないのなら、その講座に一般性があるとはいえないと思います。無意味とまではいわないものの、目に見える効果がほしいところです。

眼球運動などは、特殊な要素が必要とされます。誰でも簡単に習得できるものではないと思います。科学的な検証が十分に行われていないものが多く、効果を過度に期待することはできないでしょう。

まずは、自分の目的や読書スタイルをよく考えて判断することが大切です。効果を判断したい場合は、実際に習得することで、自分にどのような効果があるのか、体験講座に参加して実検証するといいと思います。

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