12,000円のステーキ串でインバウンド観光客を舐めてはいけない

プライベートで大阪に来ています。最近は梅田エリアよりも心斎橋・難波エリアに出かけることが多くなりました。

グリコの看板で有名な道頓堀界隈はインバウンド観光客で平日でも賑わっています。

その路面店の一角にステーキ串を売っているお店を見つけました(写真)。

東京でも築地場外で1本5000円の牛ステーキ串が売られていることが話題になっていますが、ここでは何と80グラム12,000円のサーロインステーキが販売されていました。

A5ランクの和牛で肉のクオリティーは確かに高いのかもしれませんが、席もない立ち食いの路面屋台で100グラム換算で15,000円と言うのはあまりに法外です。

あまり売れているようには見えませんでしたが、似たようなお店が複数あるところを見ると、それなりの販売ができているようです。

利益率は高そうですから、一日に数本でも売れれば上出来なのかもしれません。

このような一見観光客を相手にした「ぼったくりビジネス」は大阪だけではなく、どこの観光地にも見られます。

観光地では顧客にリピートしてもらうことを想定していないため、高い値段でアコギなビジネスをしているのです。

しかし、観光客も馬鹿ではありません。最近はSNSなどで情報が短期間で拡散されますから、舐められていることに気付けば、このようなビジネスはすぐに成り立たなくなります。

これからの日本は観光ビジネスが重要な産業となります。インバウンドブームを短期で終わらせることなく、長期的に発展させるためには、来日外国人が「価値>価格」と実感するような商品サービスを提供し続けることが必須です。

せっかく日本にやってきてくれる外国人観光客に1本12,000円のステーキ串のような「インバウンドビジネス」を展開していると、いずれ手痛いしっぺ返しを食らうことになるでしょう。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。