昨年10月、私が議会で追及した、世田谷区立中学校で起きた教師による男子生徒への暴力事件。その認定が東京都教育委員会によって行われたことを読売新聞が報じた。
男子生徒が複数の教師によって暴力を振るわれ、全治2週間のケガを負ったのだが、世田谷区教育委員会は、保護者の再三にわたる要請にも関わらず、体罰調査を怠っていた。私が問題視したことで、調査が行われはしたが、その結果は非公表。ようやく、報道で明らかになった。
体罰認定は、東京都が公表しているガイドラインに照らし合わせて行われる。報道の通り「不適切な指導」と判断したのであれば、全治2週間のケガは、“しっぺ”やら“デコピン”と同レベルということになる。そんな感覚がまかり通ることが、教育行政の“闇”を象徴していると言わざるを得ない。
都が最終判断したとはいえ、それは区が被害生徒と加害教師に直接会って行った調査を踏まえてのことだ。その調査内容は非公表だから詳らかではないが、そもそも、区がこの事件を「体罰」でなく「不適切な指導」と軽く見積もって報告していた可能性は十分に考えられる。
世田谷区ではかつて、教育委員会主催のワークショップ「ドリームジャズバンド」で、指導者だったトランぺッター、日野皓正氏が反抗的な態度を取った生徒の髪を引っ張り、往復ビンタをした事件があった。このことはメディアでも大きく報道され、区議会でも問題視された。
その際、保坂区長は記者会見で「体罰の一歩手前」「体罰や暴力ではない」と発言。それより前には、X(旧ツイッター)で、以下のようなポストをしていたにも関わらずである。
トップがこのような詭弁を弄する行政のもとで行われている教育が、自然と歪んでいっても不思議はない。魚は頭から腐るのである。
今回の事件は、区長の「体罰に甘い」体質が、世田谷の教育にジワジワと広がっていた証左の一つと言えよう。区長は「いのちの政治」を掲げているが、子どもの命は傷つきっ放しである。悪い冗談もほどほどにすべきだ。