水面下で北朝鮮との接触を進めていた岸田政権ですが、北朝鮮から交渉を拒否する声明が出されました。
直近では金正恩委員長の妹である金与正氏が岸田政権から首脳会談の打診を受けていたことを明らかにしていました。与正氏は岸田政権のアプローチが「人気取り」であるとして批判していましが、交渉の拒否を発表する前振りだったのでしょうか?
北朝鮮は今年に入り日本に対して「秋波」を送る頻度が増えていました。
また、先月には与正氏が「個人的見解」と断ったうえで、岸田首相が訪朝する可能性に言及していたことから、北朝鮮が日本との関係改善に前向きであると思われていました。
しかし、与正氏は「個人的見解」を示した談話で拉致問題が解決済みの問題であるという認識も示していました。これは拉致問題を最優先課題の岸田政権としては許容できない前提であり、それにより日朝間の調整が決裂してしまったのだと思われます。
拉致被害者とされる方々とその家族は高齢化しており、残された時間は長くありません。
日本は拉致被害者奪還のために、この数十年間北朝鮮に対して制裁措置などを利用して圧力をかけてきましたが、成果はあげられていません。一方、近年では日本側が以前にも増して首脳会談を含めた対話路線での状況打開を目指す姿勢が鮮明です。
北朝鮮が日本との関係改善を望む最大の理由は、北が脅威として認識している日米韓の間にくさびを打ち込みたいからです。しかし、岸田政権は自国民の奪還に注力しながらも、北朝鮮による核・ミサイルを用いた恫喝が許されると思わせてはなりません。