国民民主党が、自然エネルギー財団の疑惑を追及している。これは2011年8月にソフトバンクの孫正義社長が10億円を出資して設立された財団である。
資源エネルギー財団は、果たして「公益」財団法人の名に値するのか。公益法人は税制優遇を受ける団体である以上、我が党の竹詰議員が指摘したように、公益認定等委員会は速やかに立ち入り検査を実施すべきだ。また、設立後半年で公益認定を受けた経緯も調査すべき。早すぎる。 https://t.co/noCisLPTkR
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) April 4, 2024
民主党政権をだまして国際価格の2倍の買取価格をつけさせた
孫氏は2011年から、菅直人首相と結託して再エネFITの買取り価格を高く設定しようと運動し、「太陽光で40円/kWh以上」と主張していた。これが2012年に孫氏が民主党政権に見せたスライドである。
このスライドの下に小さい字で書かれていて見えないのだが、これは欧州の再エネバブル崩壊前の2009年の買取価格である。FITの始まった2012年の買取価格は次の表のように、ドイツで18.76ユーロセント(約20円)だった。
これは孫氏も知っていたはずだ。なぜなら彼は「再エネの価格は急速に下がっており、今や原発より安い」と主張していたからだ。原発より安いのならFITで買い取ってもらう必要はないという批判には答えず、菅首相に直訴して事業用40円(住宅用42円)という買取価格を決めさせた。
日本でもメガソーラーなら、単価は当時でも20円以下だった。それが2倍の価格で全量買い取り保証され、20年間リスクゼロなのだから、外資が大量に参入して数兆円の投資がおこなわれた。
このとき書類審査による設備認定だけで買い取り価格が決まったため、2013年度末に駆け込みで3000万kW以上の設備認定が行われた。この結果、認定されたが稼働できない物件が大量に発生し、それが今も平均36円の価格で買い取られている。
この結果、2030年までに累計40兆円以上の再エネ賦課金(=再エネ業者の超過利潤)を電力利用者は払わなければならない。
SBグループが財団を利用して巨額の利益を上げた
さらに重大な問題は、設立母体のソフトバンクグループ(SBエナジー)が再エネに数兆円の投資をして数千億円の利益を上げたことだ。これは明らかな利益相反である。
公益財団法人の認定基準として「社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること」という規定がある(公益法人認定法第5条の3)。
自然エネ財団の活動はこれに違反し、国家を巻き込んでソフトバンクなどの再エネ業者に数十兆円の利益を与えた史上最大の詐欺事件である。立ち入り検査どころか検察の捜査の対象になってもおかしくない。