深夜料金の導入が飲食店を救う

黒坂岳央です。

昨今、あちこちで人手不足や人件費アップが起きている。働く人材が比較的集まりにくく、賃上げも難しい飲食店ビジネスにおいて大きな変化があった。牛丼チェーン大手の「すき家」が今年4月から深夜の追加料金を始めると発表したのだ。

SNSでは概ね、この発表には肯定的な反応が見られた。個人的にはこれに限らず、コンビニやファミレス、ガソリンスタンドなどあらゆる店舗ビジネスで導入することによって、店舗の課題解決につながるのではないかと思っている。

Rossella De Berti/iStock

深夜料金か?夜間営業終了か?

2020年4月、すかいらーくグループが一部のファミレスにおいて24時間営業をやめると発表した。時はコロナ禍であり店舗に大打撃を与える最中ということもあったが、同社が50年間も堅持した「24時間営業」に幕を下ろす決断は「日本経済の縮小本格化」といった反応を呼んだ。いつかコンビニの24時間営業廃止が始まるのでは?という不安の声も見られた。

時給は少しずつ上昇し、労働者の夜間割増賃金もあり、限られた労働人材の争奪戦が始まっている今、これまで深夜の割増料金を取らず24時間営業をしていたモデルに無理が来ているのではないだろうか。すき家の深夜料金は夜間営業の終了という望まぬ選択肢の回避になるだろう。

世の中には夜間の営業に頼らざるを得ない人たちがいる。配送業や医療関係者など夜勤が入る職種の従事者だ。そうした人たちにとって深夜の割増料金は痛い出費になるかもしれないが、24時間営業の廃止よりはダメージが小さいだろう。また深夜勤務の割増賃金が支払いの原資と考えることができないだろうか。仮に深夜の割増料金を回避するなら、日中の時間に生活必需品を買ってストックするなど購入タイミングをズラす対応をする人も出てくると予想される。

どんな形であれとにかく値上げに否定的な反応を示す人がいるが、賃上げの原資は商品サービスの値上げである。インフレの長期トレンドは既定路線であるため、現行の利便性を維持するには企業もできるところから値上げをせざるを得ない。そろそろデフレマインドを脱却し、値上げにどう対応するのか?個人レベルの創意工夫で対応するべき時が来ている。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。