不調が繰り返される理由は、脳にインプットされている「からだの地図」が乱れているからです。現役の作業療法士が、現場で培ってきた技術をもとに悪い姿勢のクセを書き換えるリセット法を紹介します。
『1日20秒! 「からだ地図」リセット』(小幡茂人著)三笠書房
姿勢の正し方を知らない人たち
子どもの頃から、「姿勢を良くしなさい」と厳しく注意されたという方も多いかもしれません。そのたびに姿勢を良くしようと頑張ってみるものの、改善はしなかったと思います。小幡さんは、「姿勢の正し方を知っているようで、知らないから」だと指摘します。
「大人になるにつれ、ねこ背やゆがみなどの姿勢は『その人の特徴』ともいえるものになっていき、自分も気にしなければ、誰も指摘してくれなくなります。しかしあるとき、ショーウインドウに映った自分の姿を見て、ドキッとします。曲がった背中や、体より前に突き出た頭・・・・・・自分はこんな姿勢で歩いていたのか。とてもカッコ悪い」(小幡さん)
「肩や背中が痛くなるのも当然だ、そう思い、やっと姿勢を直したいと思うようになるのです。私の娘が小学校に入学した頃、学校から『正しい姿勢』と書かれたプリントをもらってきました。そこには机に座る正しい姿勢がイラストで描かれていて、『背筋をピンッと伸ばす』『おなかにグー1個分のすき間を開ける』『両足を床につける』と書かれていました」(同)
では、このプリントで示された内容を実践すれば、良い姿勢になれるのでしょうか?答えはNOだと小幡さんは言います。
「理由はこのプリントには『良い姿勢の正解』が載っているだけだからです。私たちは『正しい姿勢』を知ってはいても、『どうしたら正しい姿勢になれるか』を教えてもらってはいません。 そして、姿勢の正し方を学ぶ機会がないまま、ほとんどの人が姿勢について悩み続けることになるのです」(小幡さん)
まずは自分のタイプを知ること
私は高身長の部類にはいるので、ねこ背にならないために鏡を見る習慣をつけています。鏡を頻繁に見ることで自分の姿勢が視覚にインプットされます。姿勢が悪ければ、姿勢を治すための作業を施すものです。
ねこ背の場合、感覚的に姿勢がよくなったと感じても、実は良くなっていないケースが少なくありません。ねこ背の人にとっての楽な姿勢というのは 形状記憶されています。その形状記憶が完全に書き換えられていないうちは、鏡を見る習慣が必要だと考えています。
姿勢がよくなっているかどうかチェックすることが大切なので、毎日、定期的に鏡を見て自分の姿勢を確認しましょう。私も毎日、鏡の前に横向きに立って、骨盤の位置や、背骨のカーブなどチェックしています。
身体のことは「見える化」したほうがわかりやすいものです。たとえば、メタボであれば、すぐに認識できますが、ねこ背というのはわかりにくいものです。また、ねこ背を認識しただけでは治りません。ねこ背は、生活習慣による影響が大きいことから、自分のタイプを知り、適切な姿勢をとることが必要です。
仕事は第一印象が重要であることは言うまでもありません。この機会に、ねこ背を治すストレッチも試してみましょう。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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