こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
岸田総理・総裁が自らの処分を見送り、「(自分については)最終的には国民や党員に評価・判断いただく」と発言したことが波紋を呼んでいます。
国民→解散総選挙
党員→総裁選挙
と考えるのが普通の受け止め方ですが、総裁選挙を行えば敗北は確実視されるため、その前に解散総選挙に踏み切るだろうというのが永田町関係者の主な見方です。
現状、岸田総理と自民党の利益は明らかに一致していません。
自民党の組織としての利益を考えれば、議席数を衆参ともに十分にもっている現状で積極的な解散に打って出る理由はなく、不人気な総裁の顔を変えながら現在の諸課題に対応をしていくことが最適解です。
しかし総理・総裁を続けたい岸田総理としては、乾坤一擲の解散総選挙に打って出て、最低でも過半数を維持する「勝利」をつかみ取りたい。でもその場合、仮に過半数を維持できたとしても。大幅に議席は減ってしまう。
こうした利益相反が起きている現状、自民党幹部からは「総理が解散しようとしたら、羽交い締めしてでも止める」という発言が出てきているわけですが、果たしてそんなことが可能なのでしょうか。
結論として、物理的には(法的には)不可能と言えそうです。
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いわゆる「7条解散」で総理の判断によって衆議院を解散するためには閣議決定が必要なので、自民党の重鎮である閣僚が署名を拒否すれば、一旦は回避することができます。
あるいは友党の公明党閣僚が拒否するかもしれません。まさに「羽交い締め」の一つです。
しかしながら、内閣総理大臣は閣僚を罷免して、一時的にそのポストを「兼務」することが認められています。これは「一人内閣」と言われており、戦後で4例が確認されています。
ただいずれも組閣に時間がかかっている間、ごく短期間に存在しただけで、一人内閣が重要な意思決定をしたことはありません。
でも理論上は可能なわけで、岸田総理がガチで腹をくくって突き進み、解散反対派の閣僚を次々に罷免していけば、まさに岸田総理一人の力で解散総選挙は実現できてしまうわけですね。
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そこまでして解散総選挙に踏み切れば、とんでもない世論の逆風が吹き荒れるので、まずそんなことは不可能である一方で、
派閥解散や政治倫理審査会の出席を決断してきた岸田総理ならやりかねないのではないか…との観測は絶えません。
以前にもどこかで触れましたが、総理の専権による「7条解散」があまりにも無制限過ぎる実情について、私個人としては疑問を持っています。
日本が議会制民主主義のお手本にした英国ですら、2011年から解散には議会の議決が必要との改正がなされました。
岸田総理の今後の行動は、こうした議会制民主主義の根源すら揺るがすような機会になるのかもしれません。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2024年4月5日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。